~ 日本の生命研究を築いた研究者の一覧 ~
20世紀、独自の研究によって日本の生命研究の基礎をつくった科学者が、自らの研究と人生を語ります。
豊富な写真と図版もお楽しみ頂けます。
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記事は、季刊「生命誌」掲載のScientist LibraryをWeb用に編集したものです。
科学者の所属等は季刊「生命誌」掲載当時の情報となります。
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掲載号別一覧
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「タンパク質の一生」とともに
通巻101号JT生命誌研究館館長 / 京都大学名誉教授 / 京都産業大学名誉教授滋賀県の湖西にある饗庭村に生まれました。3歳の頃に母親を亡くし、実母の記憶はほとんどありません。母は結核を患っており、結核患者は厳格に隔離の必要があると当時は考えられていたため、生前から一緒に暮らすことができませんでした。... -
科学と日常の重ね描きを
通巻100号JT生命誌研究館館長東京生まれの東京育ち、五人兄弟の上から二番目です。兄は六つ上で、すぐ下の弟は五つ下ですから、小学校へ通うまでは女の子の一人っ子同然。母と二人の時が多く一番影響を受けていると思います。もちろん家事で忙し... -
生命の源、脂質を追って
通巻99号国立国際医療研究センター 脂質シグナリングプロジェクト プロジェクト長幼い頃から一貫しているのは、何かを強制されたり押し付けられたりするのが大嫌いということです。幼稚園の入園初日、先生に「ご挨拶しましょうね」と無理やり頭を押し下げられたことに腹を立てて帰ってしまい、以来一日も登園せず。... -
アホウドリと僕の42年間
通巻98号東邦大学名誉教授静岡市を南北に流れる安倍川の河口からまっすぐ23.5キロ北上した山あいに10軒ほどの小さな集落があります。僕はそこで生まれました。まわりは茶畑とミカン畑、山林で、家から少し下りると幅500メートルほど... -
分子から脳の科学へ
通巻97号立命館大学教授 / 東京大学名誉教授子どもの頃は毎日、学校が終わると近くのお宮さんに集まって友達と遊びました。故郷の守山(滋賀県)は長男を大事にするという習慣が残っており、長男の僕は甘やかされたと思います。勉強しなさいと言われることはなく、... -
現れては消えるカルシウム・シグナルを見つめて
通巻96号日本大学医学部特任教授 / 東京大学名誉教授山形の農村部で育ちました。生家は祖父の代から医院を開業しており、幼い頃の私は診療所からもらってきた空き箱や絆創膏を材料に工作をして遊んでいました。ハサミで自分の指を切ってしまった時、誰にも言わず一生懸命に傷を隠していたと後年母から言われました。知られたらハサミを取りあげられると思ったのでしょう。一人で黙々と遊ぶのが好きでした。... -
しなやかに、たおやかに、樹状細胞と共に
通巻95号京都大学理事・副学長故郷は岐阜県の養老町です。家を出ると目の前には北西から南東に連なる養老山地の山並みがあり、田んぼの用水路のあちらこちらから澄んだ水が湧き上がっていました。部屋で本を読むことが好きな妹に比べて私は非常に活動的で、毎日田んぼでドジョウをすくったり、おたまじゃくしを捕まえて育てたりしていました。... -
イモリのレンズ再生に魅せられて
通巻94号基礎生物学研究所名誉教授/総合研究大学院大学名誉教授/熊本大学名誉教授/中国医学科学院北京協和医学院名誉教授/尚絅学園顧問昭和8年、名古屋の生まれです。生家は木製の機械部品をつくる工場を営んでいましたが、五男坊の私は父から「おまえが家業を継ぐことはないのだから、好きなことをして生きなさい」と言われていました。父は自然や生きものが好きで庭で様々な動物を飼い、よく私を山に連れて行ってくれました。... -
生きもののしくみを構造に観る
通巻93号大阪大学大学院特任教授/大阪大学名誉教授/大阪大学栄誉教授両親はともに小学校教師をしていました。戦後の教師不足の時代に18歳とかで代用教員となり、夜間大学で教員免許をとったと聞いています。私は幼い頃から本や漫画が大好きで、クリスマスや誕生日には両親が好きなだけ本を買ってくれるのが一番の楽しみでした。... -
対称性を破る動物の形づくり
通巻92号理化学研究所多細胞システム形成研究センター長生まれ育ったのは香川県善通寺市。讃岐平野の西端にある田園地帯で、お大師さん(空海)のふるさとです。小さい頃の遊び場はお寺や四国学院大学構内の原っぱ、そして田んぼの脇の用水路でした。... -
分子と分子が出会う、減数分裂を追いかけて
通巻91号自然科学研究機構 基礎生物学研究所所長小学生のころの記憶にあるのは、上の弟を連れてよく西宮から神戸の三宮まで父を迎えに行ったこと。レンガ造りの国鉄三ノ宮駅に「特急かもめ」が入ってくるのを待ちわびました。... -
花の性から広がる多様性の世界
通巻90号九州大学 教授 / 九州大学 持続可能な社会のための決断科学センター センター長生まれたのは福岡県糸島郡、このキャンパス(九州大学伊都キャンパス)のすぐ近くです。昔このあたりは里山が広がっていて、中学生のころ植物採集に来たことがありますよ。... -
ゆらぐ自己と非自己―制御性T細胞の発見
通巻89号大阪大学特任教授名前の由来をよく尋ねられるのですが、あまり深い意味はありません。「名前は人と区別するためにあるのだから、他には無い名前を付けるんだぞ」と、祖父が父に言ったようです。... -
反復配列から進化を追う、いつもエキサイトを求めて
通巻88号国際科学振興財団(FAIS)主席研究員 / 国立成功大学教授(台湾)父は医学部を出て国家公務員になり、戦後に公職追放令で職を追われた人たちの復帰に献身したと聞いています。20万人以上のほとんどが復帰したそうですから、... -
大腸菌から霊長類へ、進化し続ける脳と私
通巻87号理化学研究所脳科学研究センター 高次脳機能分子解析チームリーダー富山県の山麓で育ちました。屏風のように険しく連なる立山連峰の裾野に位置する、亀谷という山村です。黒部ダムに代表されるように、急峻な地形を利用した水力発電が盛んな一帯で、... -
化学の眼で見る海の毒
通巻86号東北大学名誉教授 / 一般財団法人 日本食品分析センター 顧問出身は沖縄県の那覇市、にぎやかな8人兄妹の4番目です。天妃国民学校に入った年に太平洋戦争が始まりました。... -
「人間とは何か」を密林にたずねる
通巻85号 -
新しい微生物創薬の世界を切り開く
通巻84号北里大学 特別栄誉教授 / 米国ウェスレーヤン大学 マックス・ティシュラー教授 / 北里大学北里生命科学研究所天然物創薬推進プロジェクト スペシャルコーディネーター山梨県韮崎市の山の中に、県下を見渡せる場所があります。子ども時代に駆けまわった山だからよく知っているんです。... -
いまだ熱ショック応答を追い続ける日々
通巻83号京都産業大学客員研究員 / 京都大学名誉教授1929年に大阪市内の商家(楽器商)に生まれました。淀屋橋の南、四ツ橋の北、今の靭(うつぼ)公園から南に当ります。6人兄弟の2番目でしたが、... -
葉緑体からゲノム時代をひらいて
通巻82号名古屋大学 特別教授40才の時に、新しく葉緑体のゲノム研究をはじめました。遅咲きです。私の世代の優秀な研究者は30代で教授になりましたから、早くにテーマを決めていたわけで、... -
プロテアソームの発見から生命科学の中枢へ
通巻81号 -
生命を分子の言葉で語るために
通巻79号マサチューセッツ工科大学(MIT)ピカワ学習記憶研究所 教授 / 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター センター長 / 理研-MIT神経回路遺伝学研究センター センター長 / ハワードヒューズ医学研究所 主任研究者1939年の9月5日に名古屋で生まれました。当時は大阪市の近郊に住んでいましたが、母が里帰りして僕を産んだのだそうです。父は京都大学工学部で機械工学を学び、... -
分子、生体、人間、そして創薬へ
通巻78号京都大学「次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点」拠点執行責任者 / 同大学医学研究科メディカルイノベーションセンター(MIC)長 / 同大学名誉教授生まれは滋賀県の愛知川(えちがわ)です。家は代々続いた医家で、私は8代目です。父は地元で開業医をしていました。その頃の開業医は、... -
転写制御によって開かれる発生のプログラムを探して
通巻77号大阪大学大学院生命機能研究科 特任教授 / 大阪大学 名誉教授内科医の父は控えめな性格と強い倫理観の持ち主でした。軍医学校を良い成績で卒業したため、一番に南方の戦地に送られたそうです。かなり危ない目に遭いながら生還したと聞きました... -
変わらない熱情で、中胚葉へと変わる過程を見る
通巻76号東京大学大学院総合文化研究科 名誉教授 / 筑波大学生命領域学際研究センター長 / (独)産業技術総合研究所フェロー・幹細胞工学研究センター長佐渡島の中心部、国仲平野の真ん中にある金井町で生まれました。大佐渡山脈と小佐渡山脈に挟まれていましたから、四季折々の山の変化を感じましたね。小さい頃から特に昆虫が好きで... -
東京大学生産技術研究所 分子免疫学分野ブラームスの室内楽を好んで聴くのですが、全体的に彼の曲の底流には絶えずanxiety(不安感)が流れており、そこがたまらない魅力なんだと思います...
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化学で生命現象をつなぎ、人をつなぐ
通巻74号 -
魚と歩んだ生殖生物学
通巻73号愛媛大学社会連携推進機構南予水産研究センター教授北海道の小樽で生まれましてね。父は銀行員でしたからサイエンスに進んだのは父親の影響ではないですね。祖父が、どういう教育を受けたのか知らないけれど、非常に生きものが好きでしたので... -
初登頂の精神で心の進化を見つめる
通巻72号 -
シロイヌナズナで花開いた分子遺伝学
通巻71号自然科学研究機構 理事 / 基礎生物学研究所 所長生まれは大阪天王寺です。両親共に大阪の人間でしたから血筋としては浪速っ子です。でも、大阪の記憶はあまりありません。... -
統計学から進化と多様性の森に分け入って
通巻70号復旦大学 教授 / 統計数理研究所 特命教授生まれは新潟の燕です。スプーンやナイフなどの生産量が日本での90パーセント以上を占めるという金属洋食器の産地で、僕の家もその販売関係の仕事をしていました。... -
自然免疫の点を線につなぐ
通巻69号大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫と言われて思い起こすのは、一度かかった病気にはかかりにくい現象でしょうか。これは免疫の一面を捉えたにすぎず、本来、免疫には二つの大きな柱があります。... -
動物はなぜ旅をするのかを考え続けて
通巻68号東京大学大気海洋研究所 教授「動物はなぜ旅をするのか?」研究人生のほとんど、この問いに向き合ってきました。僕は生き物の動く姿が好きなんです。でも個体の中へあまり深く入っていきたくはありません。... -
ATP合成酵素がまわる不思議
通巻67号京都産業大学 教授 / 東京工業大学 名誉教授「?・・・・・!」、これが定年退官の時の最終講義のタイトルです。私の科学に対する姿勢が込められているのですが、音読できないタイトルに、紹介する方としては困ったでしょう。... -
死の側から生を見る分野を確立
通巻66号京都大学大学院 教授アポトーシスという言葉は専門外の人も知っている言葉になってきました。プログラムされた死とも言われ、体ができてくる時あるいは新陳代謝時に死ぬことが求められる細胞があり、... -
俯瞰と徹底 分子から細胞、発生へ
通巻65号理化学研究所脳科学総合研究センター チームリーダー / 東京大学 名誉教授クロード・ベルナールの「実験医学の原理」を山口知子先生と一緒に翻訳する機会にめぐまれました。1542年、コレージ・ド・フランスの教授だったベルナール... -
グルタチオン代謝から糖鎖生物学への広がり
通巻64号大阪大学産業科学研究所寄附研究部門 教授 / 理化学研究所基幹研究所 グループディレクター / 大阪大学 名誉教授生まれは東京の永福町ですが、三歳の時に空襲を逃れ祖母の果樹園のある札幌郊外の藤野へ母に連れられ疎開しました。1000本のリンゴの木と四季折々... -
常に問いを立て続けて—免疫・嗅覚・そして次は
通巻63号東京大学大学院 教授神経科学という学問がめざすゴールは2つあります。一つは、アルツハイマー病やパーキンソン病など神経疾患の治療法を探る、医学としての目標です。もう一つは、われわれは何者であるか... -
自分を食べて生き残る細胞に魅せられて
通巻62号東京工業大学特任教授いろいろな生きものを見ていると、面白い現象に気づいてはっとする機会はいっぱい転がっています。博物学の時代に戻れというわけではありませんが、多様な生きものを見て、... -
未踏の細胞を観察する
通巻61号東京大学大学院特任教授生まれ育った横須賀は、都会ですし住宅街でしたが、自然は結構残っており、お寺や山がいい遊び場でした。近所の友だちと駆け回って、クワガタやセミを捕りましたよ。... -
生物地球化学・社会地球化学という視点
通巻60号海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター プログラムディレクター / 京都大学 名誉教授 / 総合地球環境学研究所 名誉教授 / ロシア・シベリア地区科学アカデミー 名誉教授地球が誕生して以来、進化を続けてきたシステムには2つあります。1つはもちろん生命で、38億年間かけて多様な生物を生み出しました。... -
研究の真髄を医療へ
通巻59号大阪大学大学院 教授 / 元大阪大学 総長医学には二つの道があります、一つは個人の技術で患者を助けるという、いわゆる名医への道です。もう一つは、基礎的な研究を治療に結びつける道で、... -
生命現象の基本にゆらぎを発見
通巻58号大阪大学 教授戦後生まれで高度成長期に育った僕らが小さい時に抱いていた夢は、いわゆるいい大学を出て、大きな会社に入りエンジニアになること。欧米のような豊かな生活を夢見ながら、... -
ヒトのがんウイルスに挑む
通巻57号東京大学大学院 客員教授 / 東京大学 名誉教授高校の時の科学クラブで、錯体化合物がさまざまに発色するのに惹かれました。田舎だったので村の演芸会があったのです。... -
発生から進化へ ホヤから見えた生きものの時間
通巻56号京都大学大学院 教授京都大学の助手になって間もなく、胚の切片を作っていた僕に、白上謙一先生(元教授・故人)が当時非常に珍しかった微速度カメラで撮影したヒキガエルの卵を自慢げに... -
生物時計のブラックボックスを開く
通巻55号名古屋大学大学院 教授生まれ育った愛知県の刈谷市は、東に行くと岡崎市、北に行くとすぐ名古屋です。僕の生活圏はこの3つにおさまってしまい、こんなに動いていない研究者も珍しいでしょう。... -
染色体研究から生命継承学へ
通巻54号京都大学大学院 特任教授 / 沖縄科学技術研究基盤整備機構 主任研究員小学校2、3年の時だったかな、2000年前の地層から出た蓮の種が美しい花を咲かせたという大賀一郎博士の研究を新聞で知り、そんなに長い間種が生き続けていたんだということに強い印象を受けた覚えがあります。... -
新しい方法の導入で発見を
通巻53号大阪バイオサイエンス研究所所長動物の遺伝子工学が可能になった時、この手法の利点がもっとも生かされる問題は何かと考えた。内分泌学から神経科学へ、新しい方法論を組み立てながら未知の原理の発見に挑み続ける姿は、... -
植物を見る、植物に聞く
通巻52号大阪大学名誉教授「キミ見てみんか?」 ヒマワリは本当に日に向かって廻るのかを尋ねたとき、これが先生の答えだった。本を読んだり、人に尋ねることだけが知識を得る方法ではない。... -
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター長ムシやトリやサカナを飼うのが大好きだった少年時代。「生きものは趣味」と割り切ろうと、理工学部を受験してみたり、就職活動もしたけれど、やはり生物から離れられなかった。...
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物理で探る生きものらしさの源
通巻49号名古屋大学 名誉教授 / 大阪大学 名誉教授 / 愛知工業大学 客員教授物性論、泥、合成高分子から筋肉と幅広いテーマで分野の垣根を越えた研究を進め、物理学から生物学に足を踏み入れた。ちょっとした条件で状態が変わる生きもの相手に、... -
神経回路は試行錯誤で
通巻48号名古屋大学大学院 特任教授悠々と飛ぶチョウに見とれた少年が大学生になって、眼と脳をつなぐ仕組みを知りたくなる。神経の一本一本が見えた時、謎解きが始まった。生きているとは、複雑でしなやかなこと。... -
タンパク質の形と進化をつなぐ生物物理学
通巻47号お茶の水大学 学長 / 長浜バイオ大学 特別客員教授 / 名古屋大学 名誉教授数学の論理と学問の世界に憧れた少女は、生きものをつくる分子を調べようと生物物理学へ。物質としてのタンパク質と進化の結果としてのタンパク質。どちらも本質、どちらも魅力。... -
DNAのふえ方から見えた生きものの姿
通巻46号JT生命誌研究館 顧問 / 大阪大学 名誉教授 / 奈良先端科学技術大学院大学 名誉教授無類のチョウ好き。イモムシを育てるのが好きで、生きものを見つめてきた少年が研究者になる時、DNAが登場していた。... -
21世紀のフィールド科学を
通巻45号 -
酵素に恋して
通巻44号スタンフォード大学医学部生化学科 名誉教授86歳の今も研究の現役。貧しい中での選択であった医学で出会った酵素。ATP合成からDNA複製へ。生命を支える酵素を追い続けた今も無名の酵素が、呼んでいる... -
縁から中心を捉える科学-好熱菌を通して
通巻43号東京薬科大学 教授 / 東京工業大学 名誉教授80℃という手も入れられないほど高温の温泉に暮らす好熱菌。この変わり者が生命の起源に近い頃の生きもののしくみを教えてくれるのではないか。... -
生きものの理論を探して
通巻42号東京大学 名誉教授 / 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構長子供時代はラジオ少年。だから生きものへの興味はメカニズム。ヒトもハエも基本は同じというDNAを基本にした遺伝学に惹かれそこから脳のなぞ解きに挑んだ。... -
ササラダニの分類から学んだ自然
通巻41号横浜国立大学 名誉教授 / 神奈川県立生命の星・地球博物館 館長何の研究をしてらっしゃるんですかと聞かれたとき、僕の答えは簡単、「ダニ」です。ダニ? それでどんな研究を? とお思いになるでしょうね。... -
本質を問いつづける
通巻40号京都大学大学院 理学研究科 教授子どもの頃は数学が好きで、大学では理論物理にのめり込む。時代の流れとともに生物物理に進み、いつのまにか「進化」という生命現象の中でももっとも難解な問いに、... -
日本の科学の未来を創る-発生工学の始まり
通巻39号岡崎国立共同研究機構 基礎生物学研究所 所長星空と幾何と工作が好きな青年は、居眠りに行った講演会で分子生物学と初めて出会い進路を変更した。カイコ、マウスと研究システムの確立を進めてきたが、... -
心で観る-しぶとくねばり強く
通巻38号立教大学理学部生命理学科教授 / 東京大学名誉教授学生時代にウニの卵割を観察したスケッチに、分裂中の割球間のくびれ部分から線が引き出し、これはなんだ?と記した。それから約40年、顕微鏡を使って「分裂の形」を細胞とオルガネラで追い続け、... -
京都大学大学院医学研究科 教授医者を志して入った大学で分子生物学に出会い感動した青年は、2年生の頃から早石博士の研究室に出入りするようになる。基礎研究者の道を選び、...
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ハワイ大学医学部 教授たった1個の細胞である受精卵から個体が生まれてくる過程は、誰にとっても不思議だ。柳町博士は、その出発点である受精の研究を魚を使って始め、さらに哺乳類の生殖の研究に挑んだ。...
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ラホイヤ・アレルギー免疫研究所 名誉所長アレルギーの仕組みを明らかにすることを生涯の研究テーマにする中で、その原因となる免疫グロブリンE (IgE)を発見。そこから、外界から自分自身を守り、...
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米国ロックフェラー大学名誉教授 / 大阪バイオサイエンス研究所所長自らを増やすという生物の基本を、もっとも単純な形で見せてくれるウィルスに魅せられ、これによって、生き物の原理を解きたいと思った花房先生は、分子生物学の新しい流れの中で、...
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チョウとがんと未知なるものと私
通巻33号国立がんセンター名誉総長 / 東邦大学名誉学長70歳代になって、子供のころから大好きだったチョウの幼虫に、盛んに増殖するがん細胞をアポトーシス(ある種の自殺)に導く物質を見つけ、興奮している杉村先生。... -
岡崎フラグメントと私
通巻32号藤田保健衛生大学総合医科学研究所 教授生物好きの少女が,生命の基本を明らかにしようと意欲に燃えた若い生物学者に出会い,ともに研究の道を歩み始める。折しも分子生物学の黎明期、世界中の研究者がしのぎを削るなかで,... -
サルの森にて 自然の秘密を探り出す
通巻31号京都大学 名誉教授 / 東海学園大学 教授日本の霊長類学は,草創期からその独特の方法論で世界の中で群を抜いていた。第二世代の杉山幸丸博士は,それを踏まえながらも学問としては新展開が必要と考え,... -
生命誌研究館 館長 / 京都大学 名誉教授生命誌では,科学を文化として捉え,香り高い文化の中でこそ進められ,語られるものだと考えています。今回のサイエンティストライブラリーは, 岡田節人館長が自身の人生をりながら文化を語ります。...
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種とは何か-植物と私の生活史
通巻29号京都大学名誉教授暮らしの中の身近な植物への興味が少年の一生を決めた。河野博士にとって植物の研究は生きる営みそのものだった。そして種とは植物の生きる姿そのものだと考えた。... -
運・鈍・根
通巻28号京都大学名誉教授 / 大阪バイオサイエンス研究所所長研究は探偵小説と同じで、生命現象を探る楽しみだったという早石博士は、生化学の黄金時代に精力的に研究を進め、それを築く一人となった。... -
未知に挑戦する私の脳
通巻27号理化学研究所脳科学研究センター 所長「脳の世紀」「脳科学の時代」と言われるが、脳の研究はようやく緒についたばかりだ。ここに至るまでに多くの学問分野の積み上げが必要だった。... -
私の偶然と必然
通巻26号大阪大学 名誉教授生物に興味を抱いた少年が、DNAに出会い、生命に共通の問題を解き明かせると、学問への目を開く。それからの松原博士の研究は、そのままDNA研究の歴史に重なった。... -
細胞と人間のサイエンス
通巻25号トロント大学名誉教授生物学は、生体の物理学でなければならない。自然に親しみ、生き物に対する興味を論理的に解き明かすのが、ラスカー賞を受賞した増井博士のサイエンスの姿勢。... -
筋肉をめぐる闘いの40年
通巻24号 -
がん遺伝子を追う
通巻23号東京大学名誉教授がんの原因と治療法の研究は、生物学、医学の最大のテーマの一つである。20世紀後半、細胞のがん化の原因とそのメカニズムの解明に第一線の研究者がしのぎを削った。... -
マウスが語ってくれた遺伝学
通巻22号総合研究大学院大学副学長マウスとの出会いが森脇博士の研究人生を決めた。生き物の仕組みに強い関心をもつ博士は、マウスの遺伝学に取り組む。さらに関心は、実験室からフィールドに広がり、... -
楽しいヒドラ研究
通巻21号 -
昆虫の生きている仕組みを追う
通巻20号北海道大学名誉教授昆虫はあんな小さな体でどうして飛べるのだろう? 休眠する昆虫の卵の中でエネルギーはどうなっているのだろう? 流行には乗らないという信念のもと、... -
セレンディピティー / 掘り出し物を見つける幸運
通巻19号 -
タンパク質と私の研究遍歴
通巻18号三菱化学生命科学研究所名誉所長タンパク質の構造解析から、酵素、そしてアルツハイマーの研究まで、テーマはダイナミックに変わった。大きな流れの中で、その時、その時の研究目的をはっきりと打ち立てる... -
細胞の時代の幕開けと私
通巻17号千里ライフサイエンス振興財団理事長 / 大阪大学名誉教授世界で初めて細胞融合に成功した岡田善雄博士の細胞に挑むバイタリティ溢れる研究人生。 細胞融合――それは世界における体細胞遺伝学の幕開けだった。... -
ショウジョウバエで結ぶ発生学と遺伝学
通巻16号筑波大学 名誉教授アメリカに渡った岡田益吉博士は、ショウジョウバエに出会う。時あたかも、別々の道を歩んできた発生学と遺伝学が、再び邂逅しようとしていた... -
顕微鏡下の一期一会
通巻15号元・岡崎国立共同研究機構生理学研究所教授光学顕微鏡から電子顕微鏡へ。さらに超高圧電子顕微鏡へ。神経の結合の姿を、顕微鏡を駆使して、みごとに掲示した濱清博士。細胞の微細な構造とその機能-顕微鏡下、... -
蝶愛ずる日々
通巻14号九州大学名誉教授飛翔し、静止し、漂流するチョウチョウを追った少年の記憶 あこがれと夢とそれ以上の不思議を少年はそのままに待ち続けた。日本のチョウ研究を常にリードしてきた白水博士の七十余年。... -
フナに学ぶ
通巻13号信州大学教授大沼のフナはメスの遺伝子だけで子供を生んでいた...。自然の不思議に強く惹かれた小野里博士はそのしくみを解明する一方で、いつも人間の暮らしに貢献したいと考えている。... -
カルシウムと私
通巻12号東京大学名誉教授地球上どこにでもあるありふれた無機質のカルシウム。そのカルシウムが筋肉収縮の鍵だった。江橋博士に孤立無援の中で自説を貫かせたのはなんだったのだろうか―。... -
分子生物学のロマンティック時代と私
通巻11号京都大学名誉教授分子生物学の幕開けに研究のスタートを切った小関博士は、その奔流の中で研究人生を歩んできた。新しい分野にあっては、いつも自分自身で考えなければならない。... -
生きているということ-分類学を科学に
通巻10号東京大学名誉教授植物は控えめで無口だが、しっかり話し込んでいくと、少しずつその姿を見せ、心を開いてくる。彼らの話に耳を傾け、丁寧につきあってきた植物分類学者がそこに見たものは... -
ホヤから私へ
通巻9号京都府立医科大学名誉教授人間が頭で考えて突き詰めたことは、なぜ自然の法則に合致するのだろうか? 心は神から与えられたものなのか? 多くの哲学者が考えてきたこのテーマを科学は解明できるのだろうか?... -
かつて絵描きだった
通巻8号名古屋大学名誉教授幼虫から蛹、蛹から成虫へと変態する昆虫。蝶や虫の美しさに心をうばわれた少年が、絵筆を試験管に持ちかえ、昆虫変態のかぎを握るホルモンの研究に半生をかけた。... -
私の夢と遍歴
通巻7号 -
私の「生」・ゾウリムシの「性」
通巻6号石巻専修大学理工学部教授小学生が中学生時代に、顕微鏡の下で泳ぎまわるゾウリムシの愛敬ある姿をみたことのある人は多いのではないだろうか。では、単細胞生物のこの生き物にも「性」があることを知っていますか。... -
私のサイエンス・スタイル「直感的創造力」
通巻5号 -
馬の念仏抄
通巻4号生命誌研究館顧問神経と筋肉を同時培養し、世界で初めて神経―筋接合に成功した中井準之助博士。古風で武骨、独歩な学者人生は、「最後の帝国大学教授」といわれるのにふさわしい。... -
サバイバル・オブ・ザ・ラッキエスト
通巻3号国立遺伝学研究所名誉教授分子進化の中立説で、世界的に知られる木村資生博士の哲学は「サバイバル・オブ・ザ・ラッキエスト」。ダーウィン流の適者生存ではなく、... -
無の発見
通巻2号生命誌研究館特別研究員「人が面白いということや、今面白いことはやるな、自分で考えたテーマを面白くせよ」と、故江上不二夫博士は常々学生たちに話していたという。大澤博士は学生時代にこの言葉に強くひかれ、...
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