今号テーマ
あなたがいて「わたし」がいる
多様な生きものが暮らす地球では、何とも関わらず生きるものはいません。今号では"あなたがいて「わたし」がいる"から考えます。光合成をやめ森の奥深くでひっそり暮らす花々に仕える生きもの、身近な樹木アカメガシワが抱える用心棒、マダガスカル島の木の実が選ぶ無二のお相手、大切なのは「あなた」です。牧場で草を喰む草食動物には、お腹の中にも牧場がありました。きのこが担うモグラの棲家の「後始末」、きのこがご縁の相良直彦先生と永田館長が語ります。30周年を機にスタートしたアカデミア、分子が支える生命のドラマを探る研究者の現場の声が生命誌の明日を示します。
私のきのこ学
「後始末」を軸としてみる森の姿永田和宏館長は、実は、学生時代からの「きのこ好き」。
きのこがご縁で旧知の仲である菌類学の相良直彦・京都大学名誉教授を
お招きしての講演と対談です。
森の生態系を支えている生きもの同士の意外なつながりを「きのこ学」に学びます。
大分県在住
生きものの多様性の源泉を探る
<分子構造の進化から見る世界 >タンパク質の構造-機能の理解を通して生きものの多様性の源泉を探るべく、第一線で活躍する研究者がプレゼンテーションとディスカッションを繰り広げました。研究に対する熱意やワクワク感、これから研究者を目指す人々へのメッセージをお伝えします。
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小田広樹 JT生命誌研究館
大阪大学大学
院理学研究科 -
伊原さよ子 東京大学大学院
農学生命科学研究科 -
田上俊輔 理化学研究所
生命機能科学研究センター
あなたがいて
「わたし」がいる
植物の生活史は、動物と菌類との関わりの中にあります。互いに助け合う関係であれ、一方だけが利する関係であれ、生きもの全体のつながりの中で許容される限りは続いていきます。「わたし」の周りには、たくさんのあなたがいるのです。
ノドジロシトド
染色体の一部が逆向きになる「逆位」は染色体の異常ですが、超遺伝子となり新たな特徴を生むきっかけにもなります。ノドジロシトドは、頭の縞模様が白いタイプと茶色のタイプがおり、それぞれにオス、メスがいます。逆位による超遺伝子のはたらきが、自分と異なるタイプとつがいになる行動を進化させました。
PAPER CRAFT