RESEARCH
ヒトゲノムから「生きている」を考える
ヒトノムプロジェクトの完了後、技術開発により個人のゲノムが読めるようになりました。この膨大なDNA配列の比較から集団の歴史を知ることができます。さらに近年、化石から取り出した古代ゲノムも解析が可能になりました。進化の研究の進展です。一方、個体では同じゲノムをもちながら様々に分化している細胞から、DNA配列を変えずに遺伝子のはたらきを変えるエピジェティクスが明らかになり、医療にも活用されています。進化と個、生命誌はゲノムから見えるこの二つの時間に注目します。そこから、ヒトという最も身近で興味深い生きものを知る研究です。
ヒトゲノム研究を通して
ゲノムに書き込まれている情報は1次元のDNA配列だけでないことが々と明らかになっています。エピジェネティクス、さらにDNAの折り畳み構造にも重要な意味があるのです。ゲノムを知るには細胞内でのDNAのはたらきを具体的に追う必要があると改めて感じています。
「生命誌アーカイブ」より
これまでの生命誌で取り上げた約600の記事の中から、エピゲノムや縄文の人々に着目した13の記事を紹介します。
-
「エピゲノム」について -
1.哺乳類の生殖の仕組みを追う -独創的でなければ意味がない-
柳町隆造 36号 (2002年)
-
2.ゲノムインプリンティング-世代に刻みこまれる時
石野史敏 38号(2003年)
-
3.ゲノムインプリンティングとホ乳類の進化
石野史敏 39号(2003年)
-
4.細胞記憶を支えるクロマチン
広瀬進 46号 (2005年)
-
5.不規則な収納が生む自由
前島一博 73号 (2012年)
-
6.女王を育むロイヤラクチン
鎌倉昌樹 74号 (2012年)
-
7.脳の性差をつくるしくみを探る
伊藤弘樹 77号(2013年)
-
「縄文・人類」について -
8.遺跡からみた縄文の食生活
小山修三 21号 (1998年)
-
9.縄文のクッキーを脂肪酸で分析する
中野益男 21号 (1998年)
-
10.DNAで古代の作物を追う
佐藤洋一郎 21号 (1998年)
-
11.安定同位体で古代人の食生態変化を読む
南川雅男 21号 (1998年)
-
12.変転する大地が生み出す新しい文化
辻誠一郎 51号 (2006年)
-
13. 化石が物語る人類の始まり
諏訪元 68号 (2010年)