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生き物さまざまな表現
生命誌研究館(Biohistory Research Hall)。本日のプレゼンテーションは、この新しい言葉の中にこめた思いを具体的な形で表現していく第一回目の試みです。
生き物を知る一つの手段としての科学を、私たちの日常を豊かにするものにしたい。そのために、文学や音楽や美術などの世界と共通の場に科学を縦いてみようというのが今回の視点です。
若手の音楽家、美術評論家、アーティスト、作家、研究者などに計画をもちかけたところ、すべての方が強い関心を示してくださったのには、こちらが驚きました。あらゆる分野で同じようなことが求められているのにそれを具体化する場は少ない。それを実感しました。
今回はホールでのプレゼンテーションという形をとりましたが、このような活動を生命誌研究館の日常の中で、サロンとして行なっていきたいと考えています。
すでに行っているサロンには、今回登場してくださっている方の他、村上陽一郎さん、金子郁容さん、エドワード鈴木さん……などさまざまな分野の方たちも参加して、おしゃべりを楽しんでくださっています。若者グループで集まろうという動きもあります。新しいサロンのご提案をお待ちしています。
生命誌研究館からの発信は、“マルティ2”でいきたいと思っています。マルティの一つはさまざまな関心と視点から生き物の姿や営みを見ることです。もちろん、活動の中心は生物学の研究です。もう一つはその活動の成果を伝えるさまざまな方法を探ることです。この方法を一緒に考えてくださる方も求めています。
楽しく、しかし真剣に新しい知のあり方巻求めての旅へ是非ご一緒にどうぞ。
1992年11月 生命誌研究館設立準備室
岡田節人
中村桂子
※所属などはすべて季刊「生命誌」掲載当時の情報です。