展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【展示ガイドになってやってみたいこと】
はじめまして、8月から展示ガイドを担当しています、増田亜由美です。どうぞ、よろしくおねがいします。私は、これまで特許事務所で技術文書を作成する仕事をしていました。最新の技術についてなら、いくつかお話しできるのですが、生きものの歴史を語るとなると、奥が深く、みなさんにイメージをもってもらえるように説明するのが大変難しいです。特に、ガイドで最初に紹介させていただく「生命誌絵巻」では、扇の縁が、未来にむかってどんどん広がり続けることの願いを伝えたいなぁと思います。 ところで、ふだん私たちが目にするのは、パソコンに携帯電話、液晶テレビ…と最先端な製品ばかり。そんな製品と共に生活をしていると、つい、人間も多様な生きものの一員であることを忘れてしまいます。しかし、研究館の中をじっくり散策すると、水中から顔を出してハァハァと空気呼吸している肺魚くんのすがたを見て、今にも私たちと一緒に陸上生活を始めそうな勢いを感じます。また骨と形の展示で、いろんな生きものの骨の形を見ていると、水中では、頭から尾びれまで一直線に伸びた背骨が、陸上へ進出するようになると、生活環境に応じて、体を自在にひねったり動き回れるつくりになったり、また、空へ飛べるように、軽い骨のつくりになったり、と骨の形の違いから、生きものの進化の中での工夫を感じます。 ガイドの最後に紹介させていただく「生命誌のお散歩」の展示では、その年代に存在する生きもののモビールが頭上につるされています。そして、現代のパネルには、多様な動植物のモビールに交じって、パソコンなど人間の文化を象徴するモビールもつるされています。便利さを知った私たちは、もう、生活から携帯電話などの製品を手放すことが難しくなりました。しかし、これから生きものの一員として歴史をつづることを考えると、改めて生きものの歴史をふり返って、これから訪れる方々と、『生きものの一員である私たち』について一緒に考えてみたいなぁと思います。 |
[ 増田亜由美 ] |