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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【ひさかたの】

今村朋子
 夏至も過ぎて少しずつ宵の時刻も早くなり、夏休みが近づくこの季節は街中が浮き足だってなんだか楽しそうです。夏休みといえば、観察日記。ゴールデンウィークに某空港でもらったヒマワリの種をBRHの食草園に植えました。小学生以来、十数年ぶりに観察日記をつけています。大人になって、あらためて植物を育てるとおもしろいもので、小さい頃は気づかなかった、一つ一つの苗の個性が見えてきます。葉っぱの形だけ見ると、まるで違う植物のようにばらばらなのに、二枚ずつ揃って新しい葉が育つ様子や、まっすぐな茎のしなやかさは兄弟一緒で感心しています。虫にかじられたり、しおれたり、苦難の道を歩みながらも、大きいものは70cm、小さいものは30cm位に育ち、来週あたりには花を咲かせてくれそうです。
 ヒマワリに水をあげながら、空を見上げると、雲が多くて幾層にも青空が重なっていて、どこまでも広くて視界がぼうっとなります。「ひさかたの空」というのは、これをいうんだなあ、と高槻の空を見て納得しました。空や雨、天や光などの言葉にかかる枕詞「ひさかた」は、解釈もまちまちですが、雨が降ったりやんだりするなかでの“ひさしぶり”の晴れだったり、“はるか彼方高い位置”の太陽などを表したり、天の遠さをあらわす言葉のようです。抜けるような青空よりも、霞がかって吸い込まれそうな天にこそ「ひさかた」の語感はよく合うような気がします。梅雨の晴れやまぬ空を眺めて、そんな事を考えました。昨日は、こっそりトマトと枝豆とオクラと朝顔を植えました。ひさかたの日の光を浴びて、食草園の植物はみんな元気です。




 [ 今村朋子 ]

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