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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【英語で生命誌紹介】

遠山真理
 祇園祭が近づくこの季節は梅雨もまっさかりで、BRHのある大阪高槻はいつもむしむし。この時期、雨が降らないと、夏の間の水不足で困るかもしれませんし、カタツムリのような生きものたちにとっても、居心地がわるいかもしれません。ただ、湿気に弱い(体力が奪われる?)私はちょっとだけ憂鬱です。こんなに不快な湿気ですが、人がどのように感知しているのかは、まだよく分かっていないようですから不思議です。(昆虫には湿度や温度を感じる細胞があるのですが。)湿度の高い空気が皮膚にまとわりつくように感じるということは、触覚のような機械的刺激として感じているのでしょうか。あれこれ考えてしまいます。
 ところで、先週は、京都で開催された「第20回国際生化学・分子生物学会議」で生命誌研究館の活動を紹介する展示をしてきました。お話を頂いたのが3月頃でしたが、海外の方に生命誌を知って頂くまたとないチャンス!と言うことで、新人の今村さんと計画を練りました。BRHのコンセプトの紹介ポスターや、表現まで含めた生命科学研究の実践を紹介する組み立てパネル、サイエンティストライブラリーに登場した研究者の写真ギャラリーなどなど、国際学会ですから全て英語です。もちろん昨年制作した英語版カードも用意して展示準備完了。当日は朗読ミュージカル「生命誌のおしゃべり〜ものみなひとつの細胞から」や「DNAって何?」なども上映して、にぎやかな感じになりました。
 来て頂いた方のコメントで印象深かったのが、”Beautiful!””Fantastic!”などと、制作物の内容だけでなく美しさを褒めて頂いたこと。どこが気に入ったのか聞いたり、さらに詳しい解説をしながら、こちらが元気をもらってしまいました。そして、慣れない英語で展示を案内しながら、改めて、「もの」をつくって提示することが、対話する上でとても大きな役割をもつことを実感しました。概念は日本語でも説明しづらいものですが、形ある「もの」として表現してあると、それを囲みながら語り合いやすい。特に、言葉に頼りすぎず、視覚的に理解できるように心を砕いて制作してきたのが役だったのでしょう。
 約1週間の会期中に国内外の研究者が約9000人訪れたそうですが、そのうち何人の方の心に生命誌の活動が響いたのか・・・。これからの広がりに期待したいと思います。




 [ 遠山真理 ]

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