展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【学生としてSICPを味わう】
一方で私の研究は、誰かと共有するにはまだ一粒のゴマくらいの小ささですが、それを形にするまでに使ったエネルギーもまた、孤独から作られたと言えます。私の場合、「私にはできない」というタイプの孤独です。「客観的に研究や物事を見る目が私にはない、ない、ない!」と自分を追いつめ、どんどん溜めこみ、もう底まで孤独でいっぱい、そろそろフタする?というとき「今度は開け」といわんばかりにブワッと仕事に移った気がします。その仕事とは、過去にBRHが記事として取り上げてきた研究を、1つずつ生物の教科書Molecular Biology of the Cellの章に対応づけて客観的に整理するというごく基本的な作業です。そして地道です、記事は300以上あります。しかしあのネガティブな孤独ほど、この仕事をやり抜く原動力になるものはなかったと思います。もちろん多くの助けを借りて。整理は私に、客観性を見つめ続けるきっかけを与えてくれました。整理するうちに、ゲノムの働き、ゲノムの多様性、発生という特定の章に研究が集中していきました。生きものを理解するための生命誌のコンセプトが、生命誌が取り上げてきた研究の偏りからも分かる。それを一つの形で示すことができたのです。これがSICPで作った私の粒であり、この粒がグルグルと立ち上がり、渦巻くべき方向はどこなのか考え始めている・・・。今、SICPのおもしろ”味”を味わい始めました、と言ってよいと思うのです。 |
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[ 坂東明日佳 ] |