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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【多様性って安心!?】

工藤光子
 SICPセクターに興味を持ってメールをくれる学生さんが毎年たくさんいます。その都度、なるべく直接会って、SICPの活動を知ってもらい、いろいろと話をしています。スタッフのポストには限りがありますし、たくさんの院生を無責任に受け入れることは残念ながら難しく、申し訳ないと思いつつお話を聞くだけに終わってしまう人も多いのが現状です。時には、双方の条件が合致すれば、お手伝いしてもらうこともあります。一昨年、環境について研究したいと志したのだけれど、悩んでしまったという学生さんが来ました。ちょうど生態学を研究している学生さんがSICPの活動を手伝ってくれていたので、二人で何か作ってみたら?といって、ぼちぼちと環境についてどうやって学問として取り組むのかというプチ展示企画が進行中です(実現するかは未定)。SICPという行為を通して良く考えてみては、というのが我々からの提案です。
 その過程で多様性って何だ?ということが話題になりました。
 私は今アメリカにいるのですが、人は多様だけれど、周囲の緑は徹底的に管理されている、というのが印象です。目的別というか、自然を楽しみたいなら、そういう公園に行くと、確かに大きな木がわんさか生えていますし、そのままなのだと思うのですが、、、。境界がはっきりしているといえばいいのでしょうか。私の家の周りも夏になると週に3回くらい芝を刈り、街路樹の枝もしょっちゅうはらっている。そして、同じ虫が一時に大量にでてきて、その虫がいなくなったら、また別の虫、というように大量発生が続きます。サイエンティストライブラリーにご登場頂いた青木先生が、そこに何匹の生きものが棲んでいるかではなく、いくつの種数がいるのかが自然の豊かさであるとおっしゃっていました。本当だなぁとこちらに来てしみじみ。日本も最近そうなってきているのでしょうが、アメリカの徹底した管理と異常なまでの大量発生はスゴい!多様な方が良いのか、悪いのかはその学生さんに任せておいて、取りあえず、私は居心地が悪いと思いました。もしかして、人は多様性を受け入れるキャパが決まっていて、アメリカはそれが対ヒトに割かれていて、日本は対自然なの??などと北地さんと盛り上がったりしている今日この頃です。
* *私の周りだけでアメリカを語るなというのは最もです、そう思った方はすみません。**


 [ 工藤光子 ]

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