展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【カタカナの名前】
多くの人が「これだけは」と覚えたであろう、スリランカの首都「スリジャヤワルダナプラコッテ」を何となく自然に覚えてしまっていたことに気づいた中学生の頃から始まった私のカタカナ覚え癖ですが、オリンピックやW杯のような国際的スポーツイベントの期間中は全開になります。連日テレビや新聞のあちらこちらでカタカナの選手名を目にしますから、とても充実した日々を過ごせます。 そういえば日本語では、生物名をカタカナで書くという決まりがあります。ゾウリムシ、アカハライモリ、ニホンザル、植物もイカダモ、シロイヌナズナ、クスノキ、そして、人も「ヒト」です。漢字は一字ずつ意味を持っているけどカタカナが並ぶと味気ない、という意見もあるかもしれませんが、私にはなんだかとても平等に思えます。私の場合、すべての生きものをカタカナで表すと知った時、「ヒトが進化の最終型ではないし、ヒトがいちばん偉いのでもなく、地球上にいるすべての生きものが現在という同じ線上に並んでいて、みんな長い長い時間を経て今にたどり着いているんだ!」という感覚がいっきに押し寄せて来たのでした。ピーンと来るのに、何がきっかけになるやらわからないものです。 そんなことを思い出しつつ、「今日は何人の名前を覚えてしまうのかしら」と心弾ませるW杯の日々は、まだしばらく続きます。 [加藤史子] |