展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【太陽の塔が内蔵していたもの】
笑っているのか怒っているのか,むぎゅっと中央で歪んだ巨大な顔.空に飛び上がろうとしているのか地に根を張らんとしているのか,ずいと伸ばした両腕.べらぼーでかいこいつを見上げていると,すっと気持ちが和らぐ. 太陽の塔がかつて「生命の樹」を内蔵していたと,最近はじめて知った. OSAKA EXPO '70,私が生まれる8年前の話なので実物を目にする夢は叶わないが,当時の写真や資料を見るだけでも驚きとワクワクでいっぱいになる. 「生命の樹」は、生命の進化を表現する全長50Mの巨木.樹の枝は時代によって蛍光塗料で塗り分けられ,海ユリ,三葉虫,魚類から人類まで292体の生物がぶら下がる.万博閉会と共に公開がうち切られ今は跡形も無いというのは残念だが、プロデューサー岡本太郎が残した言葉にハッとした。『絵本をみるような,大人にも子供にも楽しいユーモラスなものを』,『ことさら学問的である必要はないが,そこに自然科学的な裏付けがあって,教育的な要素が遊びの表現とハーモナイズされているように』『全体として人間を感じさせたい.そして生きていくための何かを感じさせたい』などなど. BRHで展示の仕事を始めた時、私がもやもやと考えていたことそのものだった. いま,展示「あなたの中のDNA」の準備を進めている.「あなたの中のDNA」はBRHホールをご覧頂くときのはじめの一歩、難しそうだと逃げられないための(?)仕掛けを幾つか用意した.とはいえ、与えられたもので遊ぶのは簡単だが,ゼロから仕掛ける側になるとなかなか大変.試行錯誤の繰り返しの中,スタッフ皆の力添えもあり, 6月にオープン予定である.(どうぞお楽しみに!!).この企画が終わっても、太陽の塔が内蔵していたメッセージを忘れず持ち続けていきたい. [桑子朋子] |