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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【もう一つの......好きなもの】

2001年5月1日

 生命誌の取材で続けて2人の研究者に話を聞きました。一人はバクテリア、もう一人はサル。
 大腸菌のモデルとも言えるK12は、だいぶ前に全ゲノムの配列が決定されていますが、その仲間のO157の解析に携わった人です。なんと、O157のゲノムには明らかに外部から入ったらしい部分があり、しかもそれはファージの痕跡らしいというのですが、そのことを言うときのうれしそうなこと。以前ファージを研究していたというのです。で、いずれ、その方面からも、せめてみたいということのようでした。
 サルの生態学の研究者は、もちろん人生の大半を費やしたその話が中心なのですが、遠い昔学生時代にやっていたというカニの生態の研究の話をする時にはもう手放しでうれしそう。
 生き物の研究をするのは、愛着とか、好きとか、言っている場合じゃないことの方が多いでしょうが、多くの研究者は、ひそかに愛する生き物を、時には研究対象とは別にもっているらしいのですね。
 現役の研究生活を離れてから、好きな生き物を別の角度から研究していらっしゃる方に、時々出会います。そういう方のお話は、本当に生き物そのものを楽しんでいるということが伝わってきます。
 何でも先端のストリームというものがあり、そこに乗ってこそぐいぐいと進めていけるのでしょうし、今いちばんホットで大きな流れを切り開くおもしろさがあると思います。しかし、その流れでは拾えないおもしろいことが、そういった、the secondの研究にはあり、逆に新しかったりするのですね。
 そういうテーマは、また、専門外の人にも、身近であることが多く、親しみやすいものです。生命誌研究館のラボは、オサムシの研究もそうでしたが、好きだから、というところに発したこういう面白い研究をやっているところなのです。年3回の実験室見学ツァーに是非参加してみてください。
[高木章子]

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