展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【表現展を終えて】
2000年11月1日
「研究を表現する」展は、生物学研究の源流に位置付けられる江戸時代の写生画、博物画や、 DNAの構造や細胞の中の様子を現わした現代のCG作品、さらに初の試みである公募アーティストによる作品まで、「研究を表現する」という切り口で展示しました。 今回の展示で一番楽しかったのは、作品搬入の時。梱包を解かれた作品達が姿を現わす瞬間は、なんともどきどきわくわくするものです。それらが壁に整列し終って、ライトを浴びた様は、これまたぞくぞくします。 「研究を表現する」展の為に、1ヶ月の期間で制作をしてくれた、神村泰代さんと吉良康矢さんの作品は、まさに生まれたての初公開。会期に間に合うだろうか、展示にあうものができただろうか、、、とこちらも気を使うことはありましたが、生みの苦しみを味わうわけでなし、ほとんどプレゼントを期待するような待ち遠しい気持ちでおりました。 神村さんの作品「ナルキソスの鏡を抜けて」は、画像(生き物とそのゲノムの配列など)を見ようとA0サイズの画面を覗くと配列や画像の透明部分にのぞいた人が移る仕掛けで、私好みのサイケデリックな色使いに惹かれていくと、自分が鏡に写って引き込まれそうになります(神村さんの意図どおり)。 干しシイタケと昆布を素材にした吉良さんの作品「しいたけさま・遺伝子」は、設置と照明に2日を費やしました。執念の結果、作品の影を DNA の螺旋に見立てたすばらしいライティングに落ち着き、お互い悦に入りました。吉良さんはずっと乾物を素材にして作品を作ってこられているのですが、今回、遺伝というテーマを掲げたことで、新たな世界を開かれたようです。 写真がなくてすみません。この展示の様子は、『生命誌』29号(2001.3月発行予定)で御報告します。 [北地直子] |