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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【ポスター販売開始!】

2000年10月1日

 BRHは入館料は無料、生命誌は配布という形で、皆様に生物の研究の面白さをお届けしている。10月から、館内で、BRH作のポスターを6種類、ポストカード8種類を販売することになった。そのうち5点は10月3日からの研究を表現する展で展示される作品、それ以外のポスター1点とポストカード3点は生命の樹展からの作品である。さらに何点かは東急ハンズ(江坂店)でも販売される。
 The study roomとの出会いから約一年。商品という形で、現在の生物学研究の世界を皆様にお届けする方法を考えてきた。今回の販売開始はその実現の一歩。一年で一歩を踏み出せたのは、What's DNA?のCGを製作してくれた松木氏のおかげである。私がThe study roomとの出会ったちょうど一年前、彼が、「こんなの作ってみたんですけど、、、」といって、生命誌26号にも載っている作品を見せてくれた。大変だったビデオ製作を終え、私は、ビデオは作ったけれど、この仕事で何を残せたのだろう、、、と考え込んでいた時だった。私の名刺にはコミュニケーションスタッフと書いてある。私がビデオ制作を通し、DNAについて彼の中にまいた種が育って花が咲いた!サイエンスを通してコミュニケーションするとはこういうこと!と実感できた瞬間。あの時の感動は一生忘れられない思い出である。その後、分子生物学会で展示したり、生命誌に載せたりと細々と広報のお手伝いをしてきたが、やはり商品として世に売り出したかった。現在の研究の世界が閉ざされがちなのは、見た目に美しく(ちょっとホメすぎ?)、サイエンスとしてある程度の正しさを持つものが世に存在しないからである。それは、ここまで粘り強く作品にするPOWERが、研究の世界を伝える私達のような立場と表現する側にないからで、それは、驚く程、時間と手間がかかり、そしてお金にならないコトなのである。(松木氏はそんなことを考えずに作品を作ってくれた。すでに作品があったからこそ一年で実現できたのだ。この場を借りて大感謝したい!)今私は、お金にならなければ、結局広まらない!と強く思う。それは、けして拝金主義ということではなく、経済活動に組み込まれる=社会的認知という図式を軽んじてはいけないという意味で、当然、売れるためだけに出す情報を選んだりするのは良くないと思っている。
 今後、BRHからの発信方法の一つとして、商品=museum goodsという形で展開していくコトを模索中である。研究の世界から、意味があってきれいな絵、意味がある魅力的な形を創造し、商品という形でBRHから飛び出していって欲しい!これまで、BRHで作ったビデオなども販売に向け調整中。しばらく、この企画に没頭してしまいそうだ。
[工藤光子]

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