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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【桜咲く新学期に思うこと】

2000年4月4日

 新しい年度が始まり、学校でも会社でも、新入生・新入社員を迎え、活気にあふれていることでしょう。
 生命誌研究館でも、何人かの新しい人達が元気にスタート。SICP部門では、3月まで大阪大学の大学院生として在籍していた三石さんが、無事博士号を取得し、東京で就職したのと入れ替わりに、修士課程の入沢さんが新たなサイエンティストライブラリー作りを目指して、研究を始めています。
 それに加え、私にとっては、まもなく始まる京都大学での講義が、新しい年度に向け気合いを入れさせてくれる大切な仕事です。総合人間学部の非常勤講師として、現代の生命科学の全体像を理系・文系を問わず全学部の学生に講義するという通年の講義を受け持っていて、改めて数えると今年で7年目に入ることがわかり、自分でもちょっとびっくり。随分長いことやってきたものです。
 講義では、生命誌研究館に集まるいろいろな情報を、時にはビデオ、時には雑誌「生命誌」の記事を使い、なるべく現在進行形の研究を紹介することを目指しています。けれども、単に知識を伝えるのではなく、分子・細胞から進化・生態まで、生物の大きなつながりと歴史を紹介し、「自然とは何か」「人間とは何か」について考える重要な「知的営み」としての生命科学を知ってもらうのが、最終的な目標です。
 幸いにして、毎年、びっくりするほど熱心な学生たちが集まってきて、様々な意見を言ってくれます。学生たちの所属は、文学部から、工学部、経済学部と実にいろいろ。その結果、単にこちらから教えるというのではなく、専門外の人達が生命科学をどのように捉えているのかを、私自身が学ぶことができるという、有り難い機会になっています。
 この1、2年、クローン羊、遺伝子組み換え野菜が話題になってからは、以前にも増して、「生命科学は怖い」という意見が多くなっていることに気付きます。
 さて今年は、どんな学生さんたちと、どんな風に進んで行くのか。銀閣寺、哲学の道の桜が満開になる頃に始まる講義を、楽しみにしているところです。
[加藤和人]

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