展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【チョコエッグ】
2000年3月15日
ある日知人が、チョコエッグなるものを教えてくれた。卵型をしたチョコ(殻のように薄く作られてある)の中に、組み立て式おもちゃが入っている商品だ。しかしどこで売っているのか見つからず、後で聞くところによると、割に限られた販売店にしか置いていないし、入荷してもマニアが箱単位で買っていったりするとのこと。結局チョコエッグに出会う前に、同様のオーストラリア製のヤウイを見つけた。ヤウイはオーストラリアの自然を守る架空の生き物という設定で、チョコもそのキャラクターの形をしている。 魅力は何かというと、そのおまけ、というのが、チョコエッグなら日本の動物、ヤウイはオーストラリアの動物たちのフィギュアなのだ。学名もついており100種以上ある。動物好きで、収集癖のある私としては、あっさりと虜になってしまうわけ。 カンガルーやらカニやらサソリやらムカデやら(どうも節足動物によく当たる傾向にある)現在十数匹。多様性なぞという言葉を使うまでもなく、子供のように、なんだこんなものいるのか!という驚きと疑問は絶えることがない。 さて仮に、私がきっちり1日1個ずつフィギュアを集めていくとする。フィギュアを数えれば、いつから集め始めたかがわかる。 ここで強引に、フィギュアの数=DNAの変異の数だと考えよう。生き物が皆それぞれ持っているDNAは、少しずつ変わっていく。その変異の量を計り、フィギュアが1日1個ずつ増えるというように、ある時間でどれくらい変異が蓄積されるかがわかれば、その生き物がいつ現れたかを推定することができるだろう。 BRHで行われたオサムシの系統解析研究は、DNAの変異をものさしにして、現在のオサムシの数々が、いつどんな風に現れたのかという多様化の道筋や、どれとどれが近縁かという互いの関係を明らかにしようとした研究です。その系統関係を見渡して、さらに思いがけないことが見えてきました。地球上の全ての生き物、なんでこんなものいるのか、という疑問を解く1つの鍵となるでしょう。 オサムシプロジェクトの集大成「見えてきた進化の姿」展、オープンまで残り1ヶ月あまりとなりました。ぜひ見に来て下さい。 [北地直子] |