研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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地図にしか載っていない道
2016年5月16日
これからの一年間は何かをするにしても「最後の」が枕詞になることが多いと思うのですが、これまで行きたいなと思っていても行くことができていないところに行きたいと思っています。その一つは山です。去年のはじめに「毎月一山に行く」と目標をたてたのですが、ポンポン山と伊吹山と葛城山で終わってしまっていました。今年こそはと思って、まずは4月(の終わりに)六甲山に行ってみることにしました。事前に「日帰り…」「お手軽…」といった本で調べて、この道を歩こうと思って行ってみました。それから、現地の売店で山登り用の地図を買って、それを見ながら歩くことにしました。
事前に調べた道は歩きやすさや分かりやすさを考慮してかそのほとんどは車道を通る道でした。景色や植物・昆虫は春の山という感じでとても気持ちいいのですが何となく物足りなく感じてしまいました。休憩ごとに、その日に買った地図を見ながら、こっちに車道じゃない道があるな、ここは歩きづらそうだけど、こっちは行けそうだなと、また来たいという気持ちがいつの間にか湧いていました。そこで、金色週間でもあったので、週が明けてすぐに、もう一度地図で計画を立てた道を歩くつもりで、そして今度は、体力的にきついかなと思って行かなかった最高峰へも行くことにしました。
通った道は手持ちの本には載ってなくて、地図にしか載っていない道(でもたぶん有名で王道の道順)でした。舗装されていない道だけれど歩きやすい、そして山登りをしているという気持ちのする道でした。後で知ったのですが、今回参考にした地図は踏査に十年(!)かかったものでした。その道を深くよく知っている人に案内してもらうと、その山をもっと楽しめるということを実感しました。
研究の話につながるかと思って書き始めたのですが、何でもない休日の話になってしまいました。でも、研究も同じ目標を持った誰かの通った道をなぞって歩きながら、その途中途中で新しいことに気づいたりするということはよく似ているのではないかなと思います。