研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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科研費申請書作成の日々
2015年11月2日
先日、今年のサマースクールに参加したスクール生の方が、ラボを訪ねて来て下さいました。その後、生きもののことにより興味が湧き、ご自身で本を読んだり、調べ続けているそうです。その方は絵を描いていらっしゃるので、きっと細胞を見たり実験したりした経験が作品に影響を及ぼしているのだろうと想像し、私もワクワクさせてもらっています。短い時間でしたが、研究の話や音楽や踊りなど芸術の話も交えて楽しい時間を過ごしました。今もまだ気持ちが冷めていないという彼女の言葉を聞いて、やっぱり生きものは人の心を惹き付けてしまう力を持っているのだなと改めて感じました。また来て下さるとのことなので、これからも繋がって広がっていけたらと思っています。いずれ作品も拝見しに行きたいと思っています。
さて、最近の私は、生まれて初めての"科研費申請書"作成の日々を送っています。科研費とは、文部科学省および独立行政法人日本学術振興会が行なっている国からの研究助成金で、審査を通過し採択された研究課題に与えられる競争的資金です。研究者として、自身の計画立案する研究がどのような目的で行なわれるのか、社会に対してもどのように結果を報告して行くのかをきちんと示すことが求められます。また、これまでの知見に基づき、問題を見定め、具体的な研究計画を作成し、そこからどのような結論が導き出されうるのか、その一連の流れを図と文章で審査員の方に伝える力が必要になります。そのことはわかっているつもりだったのですが、実際書こうとするとどのように書いていけば良いのか全く分からず途方にくれてしまいました。(本当にわかってはいなかったのだと思います。)そこで何か参考になるものをと思い、羊土社から出版されている「科研費獲得の方法とコツ」という本を購入して熟読しました。こちらは初心者にもわかりやすくポイントがまとまっており、なんとなく申請書で要求されていることがイメージできるようになりました。しかし、参考例をもとに書き始めることしばらく、結局自分の中で研究の全体的なイメージと具体的な実験内容が細かく計画出来ていないと書けないものだと気付き、情報を調べ直して研究計画を練り直し、周囲の皆さんに相談に乗って頂いては、このままでは全然ダメだと気付き、また調べ直して考え直すという作業を繰り返しています。おそらくこの記事が載る頃には、なんとか申請書を形にし終えているはずですが、今回の件で知識不足・思慮不足を痛感しましたので、これからも研究者として日々努力していきたいと思います。