研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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十五夜
2015年10月15日
朝、晩がだいぶ涼しくなってきました、秋ですね。今年の十五夜(中秋の名月)は先月末でしたが、みなさまどのような楽しみ方をされましたか。京都では数カ所の神社やお寺で「お月見会」が催されていたようです。私はちょうど実家に帰省をしていましたので、数年ぶりに懐かしい地元での十五夜を楽しんできました。
私は鹿児島県の最南端にあります与論島の出身です。与論には古くから伝わる十五夜に行われる伝統行事があります。一つは、子供達が楽しみにしている「トゥンガモーキャー」といって、近所の家々を回ってお供えしてあるお餅やお菓子などをもらうという行事です。夜道には都会の街で見るようなキラキラした灯りはありませんでしたが、大きな丸い月が私達の足元を明るく照らしてくれ、友達と一緒にたくさんの家々を回るこの日がとても楽しみでした。もちろん、今年の十五夜は子供達を迎える側でしたが、我が家を訪ねてきたちびっ子達にひと昔前の自分を重ねて懐かしくなりました。
もう一つは「十五夜踊り」といって国の重要無形民族文化財にも指定されている室町時代から続く五穀豊穣、島内安泰などを願う奉納踊りです。この踊りは、一番組と二番組によって構成されています。一番組は狂言や能から成る大和踊りで、二番組は与論島や琉球諸島の言葉を使いながら、踊り方は琉球風の舞踊が取り入れられています。日本本土と琉球諸島の文化交流を知る芸能として非常に貴重な奉納踊りなのですが、私はこれまで一度も見たことがありませんでした。今回、初めて実際に十五夜踊りを見ることができました。古くから先人達によって大切に守られ、たくさんの想いや願いが込められたこの踊りを故郷の懐かしい人々と一緒に楽しむことができ貴重な時間を過ごすことができました。「月を愛でる」という習慣から始まり、秋の満月に豊作の感謝や祈願を行うようになった十五夜。秋の夜長と言われる季節に入ってきました、実り多い季節にしたいものです。