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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【オオヒメグモの国際ミーティングが開かれます!】

2013年2月15日

小田広樹

この2月の23日、24日にオックスフォード・ブルックス大学で、オオヒメグモ (Parasteatoda tepidariorum)に関心のある研究者が世界から集まって初めてのミーティングが開かれます。私はオープニングのプレナリー講演を任されていて、今その準備に追われています。

オオヒメグモは、今から12年ぐらい前に私と秋山-小田康子さんが分子生物学の研究に使い始めました。7年ぐらい前からは、それまで別のクモ種で精力的に研究を行っていたドイツのグループがオオヒメグモに乗り換え、それをきっかけにオオヒメグモのユーザーが世界で増えました。オオヒメグモが普及した要因は、私たちの論文のインパクトもあるかとは思いますが、オオヒメグモが生来持つ性質が研究室での分子生物学実験と素晴らしく相性が良いことが認知されたからに他なりません。

今回のミーティング開催に先立ってオオヒメグモの研究者コミュニティーが形成されたきっかけは、2011年に開始された昆虫5000ゲノムプロジェクト(i5k)です。このプロジェクトは、昆虫と他の節足動物の中から重要性の高い種を5,000種選び、そのすべてのゲノムを5年間で(2016年までに)解読完了することを目指しているプロジェクトです。私たちオオヒメグモの研究者コミュニティーは、オオヒメグモのゲノムがこのi5kの中で解読されることを期待しています。しかし、お金と労力をかけてそれぞれの種のゲノムを解読するわけですから、得られる情報がどれだけ有効に活用されうるのかによって、どのゲノムの解析を優先的に、重点的に行うかに影響してきます。そのためにも、今回のようなミーティングで技術や知識の共有や協力体制の構築をはかることは重要です。

私たちの研究室は世界のオオヒメグモ研究をリードする立場として、技術的なノウハウを積極的に発信していきたいと考えています。そのひとつとして、オオヒメグモの飼育方法を英語の字幕付きでビデオにまとめました (Video)。オオヒメグモを使い始めるまでのハードルが下がって、世界で研究者人口が増えればうれしく思います。

「オオヒメグモの飼育方法(英語字幕付き)」(2分55秒)
This video shows how to culture the spider Parasteatoda tepidariorum in laboratory.

[ ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 小田広樹 ]

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