研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【『ブサカワイイ』が選択される】
2013年1月15日
明けましておめでとうございます。私は昨年の1月に生命誌研究館に来たので、ここで1年間を過ごしたことになります。ラボの皆さんに囲まれて楽しく研究することができて、また、実験室ツアーやサマースクールではたくさんの方々とお話することができて、素晴らしい一年でした。今年もよろしくお願いいたします。
さて、高槻市での暮らしにも慣れてきたということで、新しい家族を迎えました。ナスオ君とポマト君です。二匹とも高齢ですが、元気に暮らしています。ナスオ君はペルシャ猫(と思われる)なのですが、いつも涙を流しています。ペルシャ猫の起源は不明らしいのですが、鼻の潰れたブサイク形質(ペルシャ猫さんごめんなさい)をヒトがかわいいと感じ、品種として確立したのだと思われます。通常、眼球を潤している涙は、目から鼻涙管を通って排出されます。しかし、ペルシャ猫は鼻がつぶれているせいで鼻涙管が湾曲して詰まりやすく、涙の排出が悪くて溢れ出してしまうのです。毎日きれいにしてあげないと、顔が目やにだらけになってしまいます。この他にも、体が小さすぎて帝王切開で出産することもあるチワワや、軟骨形成遺伝子が野生型とは異なるスコティッシュフォールドなど、ヒトが選択した不思議な形質を持つ犬や猫がたくさんいます。生命誌研究館では皆、『進化』という言葉を毎日のように耳にし、口にします。ヒトの手で不思議な選択、交配により改良を加えられた猫や犬、その他の家畜たち、また植物は、この先どのように進化していくのでしょうか。ヒトの進化に寄り添って形を変えていくのだと思いますが、さてヒトはどう進化していくのでしょう。
話は変わりますが、ナスオ君は東日本大震災で家族とはぐれてしまった被災猫です。あれからもうすぐ2年が経とうとしています。悲しい思いをしながらも、今も復興へ向けて頑張っている方々がいるということを忘れないようにしたいと思います。
ナスオ(グレー)とポマト(黒)