研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【大きな変化があることを覚悟する】
東日本大震災で被災された皆様、ご家族・知人の方々に心よりお見舞いを申し上げます。 3月11日に発生した東日本大震災では、震源地から遙か離れた大阪でも、何とも言い難い気持ちの悪い揺れを感じました。僕が未曾有の大災害であることを知ったのは、揺れを感じてから一時間近く過ぎた頃でしたが、心配になって青森の実家に電話をしてみたものの全くつながらず、連絡が取れたのは深夜になってからでした。東北や関東在住の親類・知人の安否確認は、翌日の夜までかかりました。 いうまでも無いことですが、巨大地震の影響は東日本だけの問題ではありません。BRHでは地震による直接的な被害はありませんでしたが、いくつかの試薬類は納品の見通しが立たないという状況が3月末まで続き、当研究室の活動にも若干の遅延が生じたことに、震災の影響の甚大さを実感しました。 前回のラボ日記で小田さんも書いていらっしゃいましたが、周期的な巨大地震は起きるものだという前提で生活をする必要があるでしょう。今回の震災で直接被害を受けなかった地域に住む方の中には、東日本の方々のために何かしたいと考えていらっしゃる方も沢山いると思います。最も大切なことは、過去の大震災の経験に学んで近い将来に起きると予想されている巨大地震に備えることではないでしょうか。被害を最小限に抑え、震災後の回復をできるだけ短期間でできるようにする方法を、政府や自治体のみに頼らず各自が考えておく必要があると思います。 例えば電力です。原子力発電所というのは、増え続ける電力消費量に"現実的なコスト"で対応できる最も有力な手段だと考えられているのだそうですが、今後新規に建設することは難しいかもしれません。となると、供給可能な電力が減ることはあっても、増えることはあまり期待できないのではないかと考えられます。また、化石燃料も有限であるので、現在のように潤沢に安定して供給されつづけるという保証はないと考えておく必要があるかもしれません。 その中で、産業活動や生活水準を大きく落とさず、且つ、予想されている巨大地震が起きた後の回復を早めるためには、極力少ないエネルギーで活動できるように今から生活スタイルや働き方などの変更も含めて、各自が真剣に考えて実践していくことも、大切なことの一つなのではないでしょうか。個人的には、「便利だ」「短時間で済む」「安い」といったことよりも、「エネルギー効率がよい」「環境負荷が小さい」といったことを、何らかの意志決定をする際の判断基準としてより優先するように心がけたいと思います。 日本という国のあり方が、近い将来に様々な形で変わる事を受け入れる覚悟を決める。それが第一歩なのではないかと僕は考えます。 |
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