研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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先日(7/16)、「ハエとクモの形づくり 〜同じ節足動物だけどこんなにも違う〜」という演題でBRHレクチャーを行いました。アンケートを拝見させてもらいましたが、「難しかったけど面白かった」と書いてくれた方が多かったです。面白いことを少しずつでもいいから伝えることができればこちらとしても嬉しいです。難しい部分にもまだまだ面白さが潜んでいるので、面白さを広げるためにもまた来てもらえたらと思います。
私たちがクモの研究を発表する時に常に問題になるのが、専門家に対する場合も、一般の方に対する場合も、「どうしてクモを使っているのか?」という点です。私たちはクモが好きでこの動物を使い始めたわけではありません。いろいろな動物を比較した上で、この動物に可能性を感じたからです。卵がたくさんとれて、胚発生がきれいに観察できるというのが一番大きな理由だったのですが、でも、それだけでは大した理由にはなりません。あくまでも、直感で始めたというのが正直なところで、その後で必死になって説得力のある理由を付けられるように努力をしてきたと言っていいと思います。前回のラボ日記で書いたように、RNA干渉法によって遺伝子機能が解析できるようになったこともその努力の大きな成果です。
真の面白さの発見は突然やってきます。難しさを抱えながらも漠然とした面白さを感じて、あれやこれやと試行錯誤を繰り返すうちに棒に当たればしめたものなのですが。
クモを使う理由がどうであれ、発見した事実が結果的に面白ければそのことの方が重要だと思っています。
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[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 研究員 小田広樹]
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