研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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先日(2/5)の実験室見学ツアーにはたくさんの方々に来ていただきましたが、私たちの研究室ではRNA干渉法(RNA interference, RNAi)という実験方法について紹介させていただきました。この方法は遺伝子の機能を調べるための画期的な方法で、クモの研究にも使えるのではないかと期待を寄せています。
「RNA干渉」とはもともと線虫で発見された現象で、ある遺伝子に対する2本鎖のRNAを試験管内で合成して注射などによって個体内に導入すると、その遺伝子に由来するmRNAが体内で特異的に分解されて遺伝子が機能できないようになるというものです。この現象は線虫だけでなく、ヒトやハエなど多くの生物種で起こり得ることが分かってきており、私たちは最近、オオヒメグモでもRNA干渉法が大きな効果を示すことを確認しました。
下の2枚の写真は、左が正常な胚で、右はある遺伝子の二本鎖RNAを注射した雌グモが産んだ卵の中で発生している胚です。右の胚では、胚の後端部が大きく陥没し(矢印)、正常胚とは明らかに異なっています。現在、この異常の原因を詳しく調べていますが、面白いデータが得られそうです。次回の実験室見学ツアーで話ができればと考えています。
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[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 研究員 小田広樹]
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