研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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生物を対象とした研究をしていると、自分で実際に採集(サンプリング)へ出かけなければならないことがたびたびあります。研究材料の採集で難しいことは、「特定の生物を狙って採集する」ことです。ある生物を狙って採集するためには、生息地や出現時期、効率のよい採集方法などの事前の情報収集は欠かせません。私はこれまでに、自分の研究材料のサソリやムカデだけでなく、手伝いとしてクモやマイマイなどの採集へでかけたことがあります。
サソリの採集では西表島へ行き、7月の暑い時期に山中で採集をしました。暑さに加え、蚊・蜂・ハブや遭難などの危険と、採集できなかったら研究ができないというプレッシャーでの採集は、体力・精神力ともにすり減り、かなり辛い作業です。しかも蜂の襲撃や迷子を経験すると、道無き山中へ入ることに自然と腰が引けビビってしまい、自分を奮い立たせるのに苦労します。
またあるときには、知り合いの採集手伝いでカニ網漁船に乗せてもらいサンプリングをしたこともあります。この時はトラブルもあり、朝2時から15時間ほども遠洋に漂いヘロヘロになってしまいました。せっかく苦労して採集した生物ですから、いくらヘロヘロになろうとも、上陸後すぐに採集した生物の適切な処置(写真撮影や固定等)をしなければなりません。
実験材料の採集は苦労が多いのですが、楽しみもあります。その一つが、採集に出かけた地方特有の食事を味わえることです。西表島では、新鮮な魚介類はもちろん、イノシシやヤギも味わうことができました。カニ網漁船では漁師さんが船上でとれたての魚を使って味噌汁を作ってくれました。寒い船上で味わう味噌汁は、格別な味です。しかも漁師さんは大変気前がよく、僕に何杯もおかわりをくれました。とてもおいしかったのでお腹一杯食べたのですが、船酔いのためか、喉にまだ味噌汁の温かみが残るうちに全て吐き出してしまいました。これもよき思い出でしょうか・・・。
さて、この夏、昆虫採集や魚採りなどに行かれた方、あるいは子供につきあわされたという方もいることでしょう。また旅行へ出かけられた方もいることでしょう。皆さんは、どのような思い出ができましたか?
[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 奨励研究員 山崎一憲]
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