生命誌研究館と高槻駅を結ぶ芥川商店街
昔ながらの商店と出来て間もない無機質な建物とが入り混じっている。
雑然としていてまとまりのない風景。
そんな商店街の片隅にリプちゃんがいる。


リプちゃんはガス器具販売店の巨大招き猫。
背は僕より少し高い。
エプロンのポッケには、お玉、スプーン、包丁、定規、エトセトラ。
少しとぼけた顔をして、いつも僕達が通りすがるのを見守っている。
さびれた片隅の空間でひっそりたたずんでいる。
そんなリプちゃんは生命誌研究館の人気者。

その日は梅雨の真只中。
少し肌寒い雨の夜だった。
行き交う人の波から少し外れたところで
リプちゃんは少し寂しそうだった。
降りしきる雨の雫がかかって
リプちゃんの頬は濡れていた。

そんなリプちゃんと一緒に
リプちゃんクラブのメンバーで撮影会。
人通りの合間を縫って写真を撮った。
通りすがる自転車をよけながら写真を撮った。
出来上がった写真を見てみると
リプちゃんはいつもよりも嬉しそうな顔をしていた。

日常から少し逸脱してみた或る日の出来事。
たわいのない想い出となって
時々僕を励ましてくれるだろう。