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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【今年の抱負?】

山口真未

 あけましておめでとうございます。
 私は大学院修士課程の二年生で、この年末年始は修士論文を書くのに追われています。読んでもらう人にできるだけ分かりやすいように・・・と頑張っているつもりなのですが、内容も専門的だし、詳しく書こうとすればするほどややこしいものになってしまい、研究の表現の難しさを実感しています。研究者にとって論文を書いて自分の研究を世に発表することは最も大事な仕事だと思います。でも、専門家しか読まないような英語の雑誌では、他の人の目に触れる機会は少ないですし、読んでもすぐには理解できません。研究をしている人にとって、やっている研究内容は三度の飯より楽しいものかもしれないのに、その楽しさを共有する手段があまりないのがとてももったいないと思います。しかし、生命誌研究館はその数少ない「研究者が外に向けて表現できる」ところで、割と多くの人と研究の楽しさを共有できるところだと思います。
 私が生命誌研究館に初めて来たのは、大学の進路で悩んでいた高校生の頃です。生物や化学が好きだったので、薬学部に進んで人の役に立つ薬を作るのもいいな、とか漠然と考えていました。理学部の生物学科なんて、何の役に立つのか、「基礎研究」という言葉がぼんやりしすぎていて理解できませんでした。しかし、生命誌研究館に来て、展示などを見て、無条件に「おもしろい!」と思いました。「人の役に立つ」とかいう視点ではなく、「生きものを知る」ことのおもしろさ、大切さを「発見」し「伝える」ことこそ生物学の研究者の特権なのではないか、それだったら絶対に楽しい!と思って、理学部生物学科を受験しました。
 理想はそうなのですが、今は日々実験に追われているし、すべてが上手くいくわけではないし、研究のおもしろさを忘れてしまうことも少なくないです。そういうとき、一階や二階の展示を見て「いつかはこんな風に表現できるようになるぞ」と気持ちを新たにして、がんばっています。せっかくこんな(私にとって)理想的なところで院生生活を送らせてもらっているのだから、これからもたくさんのことを吸収していきたいと思います。



[脳の形はどうやってできるのかラボ 大学院生 山口真未]

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