バックナンバー【物語の力】 | JT生命誌研究館

ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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坂本信之

　世界貿易センターへのテロ攻撃に対する報復がついに始まってしまいました。この大騒ぎに巻き込まれる罪のない人々の不幸を思うとなんともやるせない気持ちでいっぱいです。海外、日本を問わず私の知らないところで痛ましい事件は起こってきたし、また起こっているのです。

　ところが、この現実に起こっている事件よりも最近読んだ小説の中の出来事の方に心を動かされている自分がいたりして、これはいったいどういうことなんだろうかなんて考えてみたりする自分がいたりして。「お前には想像力が足りないのだ！」とか「冷たい奴だ」、さらには「仮想と現実の区別がついてないんじゃないか」なんて言われてしまうかも知れないですね。まぁ、それはともかく物語にはヒトの心に「現実」に匹敵するものを作り出す力があると思うのです。

　物語にも感動できるものもあれば、そうでないものもあり、またツボにはまる物語はヒトそれぞれに違っているわけで。ということは、物語の持つ力はその物語自身だけでなく受け手であるヒトとの相互作用で生まれるものなのでしょうね。そして、物語が力を発揮するためには受け手が自分の現実に物語を投影できるかどうかが鍵になっていると。ヒトにとっての現実ってのは自分の内側にあるってことなんでしょうか？う〜ん、どうなんでしょうね。

[青山ラボラトリー　奨励研究員　坂本信之]

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