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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

バックナンバー

バックナンバー 【偶然の力】

吉田昭広
 ある程度の年数にわたって研究に携わっていれば誰しもそうかもしれませんが、「偶然の発見」「予想もしなかった結果 」といったものに遭遇することが幾度もありました。予想どおりの結果 が出て計画どおりに研究が進むときには、「自分の力で研究が進められている。」という気がして、それなりの充実感を覚えることができます。しかし、当初には予想もできなかった発見のあったときや、偶然のきっかけで思いがけない手がかりを得て研究が進展するときには、驚きとともに、また違った嬉しさも感じます。ひょんなきっかけから「思いがけない」方向に研究が進み、「予想どおりにいくより、このほうが良かったのでは。」と思うこともありました。ささやかな経験からではありますが、いろんな意味で「偶然の力」の大きさというのは、バカにできないものであることを強く感じます。

 最近の「予想もしていなかった結果」は、チョウのハネの周りには「感覚器」が非常にたくさんあることがわかったことです。「すみずみにまで神経が行き届いているチョウのハネ」というものに、あらためて驚きを覚えています。もう一つ…。先日たまたま、とあるデパートに勤務する(高校時代の)同級生と長時間話す機会があり、このチョウの話もしたところ、仕事のうえで思い当たるところがあったらしく、「(その話は)たいへん有益だった。」と喜んでくれました。こんなところでチョウが役立ってくれるとは、私には予想もできないことでした。


[吉田昭広]

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