館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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多様性を農業から
2017年8月1日
雲仙に行ってきました。「水と風と生きものと」を観て下さった金澤市長が小学校農業科に強い関心を持って下さったからです。全体を語ると長い長い話になってしまいますので、「生物多様性農業」のことだけにします。
農業は地域の自然と深く関わりますから、野菜たちにはさまざまな顔があります。関西では京野菜、難波野菜と言われて、聖護院大根、水なすなどに代表されるさまざまな野菜が食されていますが、一般的には全国一律になってしまっているのが現状でしょう。
雲仙では、岩崎さんという篤農家が、できるだけ多様な野菜からタネを採って育てるという圃場を持って頑張っていることを知りました。3ヘクタールの土地で、ジャガイモ、カボチャ、大根、ネギなどなどさまざまな種類の野菜を育て、種子を採取して次へと続けていくという大変な作業をニコニコしながらやっていらっしゃるのには、ただ頭が下るとしか言いようがありません。
それに共感した若い夫婦(奥津さん)が東京からやってきていました。お子さんは毎日ハダシでかけまわっているとか、とても元気で体の中に力が満ちている感じが可愛らしく、いいなあと思いました。
いただいたお野菜をここ二週間ほどあれこれお料理して試しているのですが、その美味しいこと。ヒョウタン型のカボチャはポタージュにしなさいという指示に従って、コンソメも入れずそのままお豆腐と牛乳を入れただけで塩、コショウ。なんともよい舌触りで美味でした。名前はバターナッツ、もっと普通に買えるようになるとよいなと思いました。その他、平家キュウリや青ナスなどどれも味わい深く、誰もがこんないろいろな味を楽しめたらそれこそ本当の豊かな社会だと思いました。
生物多様性と言われますが、食卓の多様性から始め、食べて楽しむとその大切さが身につくのではないでしょうか。