館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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おめでとうございます。今年はトランプさんでなく、まど・みちおさんで
2017年1月5日
2017年になりました。新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。英国がEU離脱をし、米大統領にはトランプ氏が選出され、イタリアでは憲法改正案が否決されてレンツィ首相が辞任し・・・これらはすべて番狂わせとされていますが、私にはそうは思えません。普通に暮らしたいと考えている者としては、グローバル経済と言われてとんでもない格差社会にされるのはゴメン蒙るという気持の表われに見えます。その意志表示がこのような屈折した形で出てしまったのは問題ですが、世界のリーダーたちがやらなければならないのは今の社会を変えることでしょう。武力に近づいたり、カジノをつくるのが答でないことは明らかです。年明けにふさわしくない話題になりましたが、生命誌はなんとかこのような社会から抜け出したいという気持でささやかな仕事をしていきます。
まず初仕事として、1月6日(金)の夜、NHKラジオ第2で午後8時30分から30分間「まど・みちおの詩で生命誌を読む」(1)を話します。3月まで毎週続く13回の始まりです。まど・みちおさんとは、ゴーギャンの「われわれはどこから来たのだろう。われわれは何なのだろう。われわれはどこへ行くのだろう」という絵のテーマを眞面目に考える仲間と認めていただいた御縁があります。いつだったか「生命誌」を「生命詩」と書いて下さった方もあり、「誌」と「詩」はどこか相性がよいような気もして、まどさんの詩の中に生命誌を探す試みです。テキストも書きました(NHK出版)。どこかで手にとって下さると嬉しいです。