館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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【「はやぶさ」と「なでしこ」】
2011.9.15
竹内結子研究生は、いつも眼鏡越しの上眼づかいです。事に熱中するあまりドタバタしています。女性科学者のステレオタイプなのでしょう。川口淳一郎プロジェクトマネージャーから、「この映画の描き方はとても日本的で、これが世界に通用するかどうか興味を持っている」とのコメントがあり、そうだなと思いました。映画として楽しみましたが、実録の方が胸を打ったというのが正直な感想です。やはり科学の表現は難しいということかもしれません。 ところで、「はやぶさ」と並んでの最近の話題は「なでしこ」。今、ロンドンオリンピック出場決定というニュースが流れています。澤選手のホッとしましたの一言よくわかります。両者の共通点は長い時間をかけた地道な努力が実ってすばらしい成果をあげたことであり、共に爽やかです。 この二つを「一番でなければダメ」という例としてとり上げ、例のスーパーコンピューター騒ぎと結びつける話がありますが、それはまったく違います。スーパーコンピューターは量的な一番を競っただけで、しかも成果の話ではありません。爽やかさとはまったく無縁です。「はやぶさ」も「なでしこ」も本当に好きなこと、大事と思うことを懸命にやった結果、「初のサンプル・リターン」や「ワールドカップでの優勝」という誰もが祝福したい一番を手にしたのであって、金銭や権威で動いたのではないのが気持よいのです。本当に価値があります。こういう一番がこれからいろいろなところで出て来るといいですね。「はやぶさ」も「なでしこ」も浮わついたところを感じさせない強さで皆を引っ張っていってくれそうで楽しみです。 【中村桂子】 ※「ちょっと一言」へのご希望や意見等は、こちらまでお寄せ下さい。 |