【ダリでなくアリ】

中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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　先回お約束したダリのこと、先週観てとても感激したオペラ「遣唐使」のこと。ちょっと知的な話題を書こうと思い、さて準備をと冷蔵庫の中のお茶を取りに台所へ立ったら、久しぶりにアリの活躍を眼にしてしまいました。今年の我が家のアリについての報告をまだしていなかったなと気づき、気分はそちらに動いています。今日は雨。それなのにせっせとよくはたらいて感心感心という気持もあってダリはアリに変ります。
　雨なのに感心といえば、実は私も雨の中半日草取りをしました。このところ週末のお天気があまりよくありません。晴耕雨読とやらで雨の日は家の中ときめていたのでは草は伸び放題になってしまいます。そこで、カッパを着て外へ出ようときめました。これが大正解。まず、いつもはなかなか最後まで抜けないドクダミの根がスーッと抜けてきますし、あきらめていた笹まで取れて、なんともすっきりしました。しかも、カンカン照りだと汗が出て疲れるのですがそれもなし。これから庭仕事は雨の中でやることにしようと思っているくらいです。大げさに言うなら “発想の転換” です。

　話はなかなかアリに行きません。庭から上ったら、たまたま生協から大きなキャベツが届いていました。“グリーンサポート” と言ってその週にたくさん採れたものを持ってきてくれるシステムで、ホウレンソウが来たりトマトが来たり。今日はキャベツです。それを見たら急にお好み焼きが食べたくなり、豚やシーフードや納豆を並べた中から、小さなエビの切れはしが落ち、アリに見つかったのです。そして写真1になりました。夕方です。最初2匹が見つけたと思ったら、1匹がスタスタスタスタ・・・明らかに巣への報告です。そしてあっという間に写真の状況。実は写真2は次の朝。ほとんど解体されてパラパラとかすが残っている状況でした。一晩せっせと働き続けたんですね。実は我が家のアリは完全に肉食。絵本にビスケットを運ぶ絵があったなと思って、クッキーのかけらを置いてみたりしますが見向きもしません。お砂糖もあまり好みではないようで・・・。インターネットで調べたら、あるわあるわ。夏休みの自由研究でアリの食べものについて調べた報告が山ほど出てきました。その中には、ビスケットをちょうど我が家のエビのように解体した写真もありましたので、そういうアリもいることは確かとわかりました。我が家の観察だけで「アリはクッキーは食べない」と早急に結論を出してはいけないと悟った次第です。自分の見たこと、知っていることだけでなく、広く調べたり、人の意見を聞いたりして考えなさい。アリからの教えです。

　【中村桂子】

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