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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【チラシに載ったのが嬉しくて】

2005.6.1 

中村桂子館長
 高槻駅から研究館まで、歩いて10分足らずの道のりですが、二つの道があります。一つは商店街、もう一つはちょっと裏道です。朝はお店がまだ開いていませんから商店街を歩いても面白くありませんし、裏道のほうが近道でもあるので、そちらを歩きます。どの家も道に面した小さな空間に鉢植えを並べたり、つばきやつつじやバラを植えたり。ていねいに手入れがされていて、四季折々楽しみです。今はつつじとバラ。鉢植えのアヤメも咲いています。
 ところで今朝、その道の途中でチラシを渡されました。東京の渋谷などですと10mおきくらいにチラシを持つ人が立っているのでいかにそれを受けとらずに歩くかということが大事。自然に避ける動きになるのですが、高槻では珍しいものですから、つい受けとってしまいました。マンションの広告でした。実は今、高槻は建設ラッシュなのです。先回世田谷の話を書きましたが、こちらも同じ。実は、世田谷は「緑の街」を唱い文句にしています。区長選の時も、「街全体が公園」などと呼びかけていました。そこで、先回電話をかけてきた友人が、区長に屋敷林の保全ができないものかと問いかけたら、こんな答えが返ってきたのだそうです。「緑の街と呼びかけて、人々に住みたいと思わせ、できるだけ住民をふやしたいのだ。」現場にいたわけではないので、言葉は正確でなはないかもしれません。でも、かなりサギっぽくありませんか。
 高槻も緑の多い街です。しかも、京都へも大阪へも15分と便利。行き過ぎにならないところで、バランスよい街になるとよいなあと思っています。
 実は、チラシの話を持ち出したのは、別の話がしたかったからです。チラシの現地案内の地図に、小学校とJT生命誌研究館とが描いてあったのです。不動産の地図って“ここにはこんないいものがありますよ”という対象を選んで入れるものですよね。正直に言ってちょっとびっくりしました。15年前にここに来ることが決まった時には、うさん臭い眼で見られていたものですから・・・新しいものはいつもそう見られるものですが。生命誌研究館の基本理念(固苦しい言い方で申し訳ありません)から行くと、不動産広告に載ることは、偉い先生に認めていただく以上に、嬉しいことです。チラシってすぐにゴミ箱行きにするものですが、これは記念品。大事にとっておきます。これからも地道に活動を続け、地域の中に溶けこみながら、世界中から評価される存在でありたいと思っています。(小さく付け加えます。この現地案内には駅から8分とありました。研究館までが私の足で10分ほど。それより遠いのでちょっと・・・と思いましたが、それぞれの事情がありますからこれは小さく書いておくことです。)
 
 
 【中村桂子】


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