【便利はよいけど便利だけでなく】

中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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　お正月はいかがでしたか。銀行勤務の友人から、「就職以来初めての１０連休を楽しみました」という手紙が来ました。銀行の窓口は３０日まで開いていましたから、その中で休めるようになったのは日本社会が少しずつ変わってきたことの現れでしょうか。おかげで私も１０日間の休日だったのですが、正直に言って、あっという間でした。家にいるのが一番のんびりできるので、家族で食事に出るとか、９７才になる姑を訪ねるとかいう例年の行事以外は、家の中でウロウロしていたのですが。暮れは、年賀状とお正月の準備で消えるということもありますから時のたつのが早いのかもしれません。お正月の準備と言えば今年の大発見。皆さまとうに御承知のことでしょうが、きんとんをフードプロセッサーで作ったのです。きんとんと言えば、裏ごしをしてていねいに粘って・・・一番時間のかかるもので、毎年、今年は買っちゃおうかなと思いながら、なんとなく母を思い出しながら作ることにしていたのです。おせち料理作りって一番子どもの頃を思い出させますから。ところがフードプロセッサーを使ったらあっという間・・・気が抜けてしまいました。
　実は、その前日に、「便利さだけを求めすぎると、生きものが本来持っている不便さを忘れてしまい、子どもも便利につくろうなどとなる」という文を書いたところだったのですが。
　便利さを充分活かしながら、便利だけになりすぎない・・・この辺りのバランスをどこに置くか。これが勝負どころですね。

【中村桂子】

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