館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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【久しぶりの夏休み】
2001.9.15
どこへ出かけるでもなく、庭いじりをしたり、たまった原稿を書いたりという生活でしたがおかげさまで気分はゆったりしました。 お休み用にとやったことは二つ。一つは映画(と言ってもビデオですが)を二本観たことです。家人の推薦によるもので、まったくマイナーな、ここでタイトルをあげても御存知ない方が多いのではないかと思う作品ですが。 一つはアメリカ映画で「ロケットボーイ」。もう一本は日本映画「青春デンデケデケデケ」(大林宣彦監督作品で、こちらは芦原すなおの本を以前読みました)。両方共十代の男の子が主人公の青春物語です。ロケットボーイは、フォン・ブラウンに憧れ、人間の乗ったロケット製作を夢見る男の子が、周囲に迷惑をかけながら(あちこちでロケットを飛ばすのですからあたりまえです)、結局皆の応援で科学コンテストに入賞する話。デンデケは、この音でわかるように、ベンチャーズにしびれた四国の高校生が、バンドを作る話です。個性豊かな男の子たち、友情、周囲の大人たちの眼…どちらも実話に基づいています。 自分たちの青春が重なって見えてくると同時に、今もこんな形で夢を持っている若い人たちがいて欲しいと思いました。また、テレビなど“ながら視聴”ばかりなので、久しぶりに画面に向き合い、このところごぶさたしている映画館にも足を向けようとも思いました。 もう一つは、目的をきめた読書。本や雑誌を読むのは日常であり、毎日たくさんの活字を眼にしていますが、一字一句をていねいにたどり、メモをとりながら勉強するという時間はなかなかとれないでいます。この休みは、生命誌をどのような方向に進めていくかを考えるために読みたいと思って本棚に並べておいた本をゆっくり勉強できました。やっぱりこういう時間っていいなあと思います。 なんだか皆んな忙しすぎますね。忙しくすればよいことができるということではないんだよなと、普段の反省をこめて、短い夏休みに感じました。 |