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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【総合の知をめざして】

2000.4.15 

 今回から担当は入沢さんです。どうぞよろしく。まだ私も彼女とは会ったばかりで、紹介できるほどの情報をもっていません。そのうちに。
 4月。学生だった頃と違って、それほどはっきりした区切りはないのですが、それでも暖かい陽気に上着を一枚脱ぐと、身が軽くなって桜を見に出かけたくなります。今年はどこが穴場かなと思っています。よい情報がありましたら教えて下さい。
 今年は、更に生命誌が多くの方に関心を持っていただけるようにしたいと思っています。このちょっと一言にもいろいろご意見をお寄せ下さい。
 先日、「これからの日本を考える」シンポジウムに参加し、未来を考えるキーワードは何かと聞かれ、私は「総合の知−知識と知恵」としました。20世紀は科学を中心に多くの知識を得た世紀でした。核分裂や遺伝子がDNAであることなど、今では当然のようになっている知識は20世紀になって得たものですし、そこから多くの技術も生み出されました。けれども、今私たちは知識だけで明るい未来が築けるとは思っていません。知識ゆえに現れるマイナスも知りました。だからと言って、それを捨てたり、更に新しい知識を求めるのを止めたりするのは人間らしくない。そこでもう一つ私たちが長い間に培ってきた能力、つまり知恵を生かすことが大事です。知識と知恵の組み合わせで次の時代を作っていきたいと思います。生命誌は生きものたちから学ぶ知恵も大事にする「知」、つまり総合の知をめざしています。
 具体的にはどう考えていったらよいのか。次回からいくつか例をあげます。最初は遺伝子組み換え作物で考えます。

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