館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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【三石さん おめでとう】
2000.3.15
今、科学と社会というテーマが大きくとりあげられていますが、その多くは、科学が技術としてどのように役に立つか、科学がこのまま進んだ場合の倫理的問題、子どもたちに科学を楽しく伝えるなどということです。 画家だったら、その人がどんな人生観をもち、何が大事と思って、描いているのかということを考えながら絵を見るのに(最近はいくらで売れるかという見方もあるかもしれません)、科学者の場合、そういうことは無視されます。またその絵を通して自分のものの見方、考え方を作っていく場合がありますが、科学はあまりそういう受け止められ方はしません。でも科学研究の基本はそこにあるのだと思います。生きもの、自然、人間の見方を作りあげていくわけです。科学と社会が対立するのでなく、科学があるために社会が知的に豊かで品格のあるものになっていくのであって欲しい。大げさに言うと、サイエンティストライブラリーはそのような社会の中の科学のあり方、科学者の位置づけを狙ったものです。 三石さんの仕事はその第一歩。正直に言ってまだまだ足りないことがたくさんあります。でも、これを大事に育てていきたいと思います。是非ごらん下さって御意見を下さい。 4月からは大学院一年生の入沢朋子さんが続けます。彼女については、また紹介しましょう。次回からはこの欄を彼女が担当してくれるだろうと思いますので。 |