館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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【BREAK2の裏話】
1998.11.1
ある日、西宮市教育委員会の方が訪ねて来られた。昨年10月、BRHが主催した「音楽に聴く生命誌」に来て下さってとても楽しかったので、あのような催しをしたいという相談だった。生涯学習フェスティバルの中で行なうライフサイエンス・セミナーとして、科学と音楽を結びつけた会をしたいというのだ。"したい"とおっしゃっても、事はそれほど簡単ではない。単に科学の話をした後で音楽演奏をするという程度のことならすぐできるだろうが、私はそれはやりたくない。科学と音楽が一体となってメッセージになるのでなければ。こう言ってお断りしたつもりだったがお相手もしぶとく、その一体となったものをやりたいとおっしゃるのだ。それには少々頭をひねる必要があると言うと、それをお前さんがやれと・・・まあそんなやりとりがあって、しかたがない、ない知恵を絞って三つほどの提案をした。その中から西宮市がこれとおっしゃったのが、私が選んだまど・みちおさんの詩に曲をつけてオリジナルの歌を作り、それと組合せた話をするというものだった。幸い、西宮市在住の中西覚さんがお忙しい中BRHまで来て下さって話し合った結果、作曲を引き受けて下さるということになり、思いがけず事は進み始めてしまった。まど・みちおさんに相談したところ、私が選んだ詩はどれも皆自分も大好きなものなので是非やるようにとおっしゃるし。そこで、詩と生命誌の話との組合せ、歌って下さる方と私との関係などを考えて脚本をつくり、リハーサルをして。一応納得のいくものになったと思っている。こじんまりとできるものなので、BRHでいつかやりたいと思う。(BRHのオリジナル作品が外との協力でできていく。まさに開いた関係だ。) |