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研究館より

中村桂子のちょっと一言

2024.08.16

今年も8月6日が来ました

あの日から79年も経ったのですね。とくに今年は、なぜ人間は戦争などするのだろうという疑問が深まる毎日を過ごしていますので、とくにこの日が重く感じられます。なぜ核をなくすことができないのか。ロシアやイスラエルが核の使用をちらつかせる様子に、核抑止論の無意味さを感じます。

この日に広島で開かれる「平和記念式典」での子どもたちの言葉がすばらしく、ほぼ毎年ここで取り上げてきたように思います。今年はとくに印象深いものでした。今戦争が行われていることに触れ、何がいけないのか、何をしなければならないのかを見事に語っています。新聞などで御存知と思いますが、改めて最後の部分を書きます。

「(前略)今もなお、世界では戦争が続いています。
79年前と同じように、生きたくても生きることができなかった人たち、明日を共に過ごすはずだった人を失った人たちが、この世界のどこかにいるのです。
本当にこのままでよいのでしょうか。
願うだけでは、平和はおとずれません。
色鮮やかな日常を守り、平和をつくっていくのは私たちです。
一人一人が相手の話をよく聞くこと。
「違い」を「良さ」と捉え、自分の考えを見直すこと。
仲間と協力し、一つのことを成し遂げること。
私たちにもできる平和への一歩です。
さあ、ヒロシマを共に学び、感じましょう。
平和記念資料館を見学し、被爆者の言葉に触れてください。
そして、家族や友達と平和の尊さや命の重みについて語り合いましょう。
世界を変える平和への一歩を今、踏み出します。」

相手の話をよく聞く、違いを良さと捉える、仲間との協力は、生命誌から生まれる人間像とピタリと重なります。大人はこれを忘れて、勝手な権力志向で動いています。人間本来の生き方を語る小学生の言葉に本気で耳を傾け、行動を考えなければならないのではないでしょうか。何度も読み返したいと思います。

そして、生命誌からの発信も続けていかなければなりません。
 

中村桂子 (名誉館長)

名誉館長よりご挨拶