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BRHサロン

生き物さまざまな表現

遺伝暗号からオサムシへ:大澤省三(生命誌研究館設立準備室・進化生物学)

この地球上には約3000万種の生物がすんでいる。これらのすべてが、約35億年前、地球上のただ一カ所で生まれた、たった一つの祖先に由来しているのであるから驚きの外はない。きわめて簡単な“原始生命体”が、試行錯誤をくりかえしながら、一方では環境や生存競争に負けて絶滅し、他方ではいろいろな方向へとますます複雑化していく。このような生物の多様化(進化)を分子レベル(DNA)で明らかにしていく研究に興味をもっている。

ここ10年間、名古屋大学在職中にもっとも熱を入れてきたのが、生物にとってもっとも基本的な「遺伝暗号」の進化だった。具体的な実験室のデータに基づいたメカニズムの解明である。今日までに、ほぼ目的を達成したと思うので、後はまとめの本をOxford University Pressから出す予定だ。

(撮影 = 山口 進)

BRHでは、種の形成のメカニズムを分子レベル(DNA)で明らかする研究を第一に行なっていきたい。そのためには、日本でもっとも形態・生態レベルの研究が進んでおり、"Evolution in action"を目のあたりに見ることができるオサムシを取り上げるつもりである。最近『オサムシを分ける錠と鍵』を出版された東京都立大学の石川良輔教授と協力して研究を進めたいと思う。

昆虫学者になりそこねて、分子生物学へ進み、さらに分子進化の研究で定年を迎えたが、BRHでうまく昆虫と分子進化がドッキングするような研究が成功するかどうか…。


※所属などはすべて季刊「生命誌」掲載当時の情報です。
 

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