その他
2025.01.15
生きものの不思議
大和康代
中村先生、今年も興味深いお話や書籍を楽しみにしています。また、世界が少しずつ平和に向かうことを祈る年明けでした。
女子栄養大学で、初めてDNAの二重らせんやコドン表を勉強したときは、ただ驚きだけでした。その時のノートは、まだ大切に持っています。その後、病院勤務し病態栄養を勉強しつつ仕事をしていたら、またDNAと向き合うことになり、セントラルドグマを詳しく学習しました。その時の感動は、大学時代以上のものでした。それを深く知ってから、仕事である病態栄養の理解が深まり、さらに納得のいく仕事ができるようになりました。その頃に中村先生を知り、書籍を読み、生命誌研究館を訪れ、生きものとしての人間を基本に物事を考えるようになり、世界観がかわりました。今は、フリーランスの管理栄養士として仕事をしていますが、もっと知りたいことが沢山あります。研究館が遠くてなかなか行かれないのが殘念です。
2025.01.15
1. 中村桂子(名誉館長)
大和様
いつもお読み下さってありがとうございます。
「生きものの不思議」は知れば知るほど深くなっていきますね。女子栄養大学で、初めてDNAに触れたと伺って、足立己幸先生のことを思い出しました。お習いになったのではありませんか。
生命科学を始めてすぐにオーストラリアから手紙が来ました。私たちもライフサイエンスをやっているので協力しましょうというのです。羊の牧場で、これからの牧畜のこと、羊のこと、食のことなどを考える研究所でした。びっくりしましたが、その手紙で、ライフには、生命、生活、人生、一生という意味があるよと中学1年生の時に習ったことを思い出し、これからはそのすべてを考えようと思ったのです。その後、「食生態学」という新しい学問を始めていらした足立さん(同世代なので)と出会い、食のことをいろいろ教えていただきました。このような形で一緒に考えることは、まだ少ない時代でしたが、二人共これから大事になると思っていたことを思い出します。そこにはDNAが明らかにした生きものの不思議を大切に考えるという基本がありました。
いただいたご意見に刺激されて、生命誌につながる出来事を思い出しました。ありがとうございます。様々な方とのつながりが生命誌を生んだのです。
中村桂子
2025.01.15
2. 大和康代
中村桂子先生
懐かしいお名前です。足立己幸先生、食生態学を受講しました。厳しかったですが、情熱溢れる先生でした。DNAの二重らせんは、栄養生化学の長谷川恭子先生から学びました。昨年他界さました。女子栄養大学では、香川綾先生をはじめ、素晴らしい先生方にご指導を頂き、幸せかつ贅沢な学生時代でした。これからも、生きもの不思議を探求してゆきたいです。
2025.01.16
3. 中村桂子(名誉館長)
大和様
私も足立先生(確かに厳しい方でした。でも気持ちの良い厳しさですね)のことを思い出し、そこから生命科学を始めた頃の厳しい、でも楽しい時代に戻る時間を持つことができました。社会の問題はたくさんありましたけれど、人間関係はとてもよい時代だったと懐かしいです。きっかけをありがとうございました。
中村桂子