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2024.11.05

宇宙船地球号と今西錦司

参照記事「研究館より」

てるお

中村先生のちょっと一言、毎回頷きながら拝読していますが、今回の「兵器で笑顔は生まれないが、食べもののまわりには必ず笑顔がある」との言葉、心にぐさりときました。また作物を育てられている方の投稿も一消費者の私として頭が下がる思いです。
気候変動に関係する議論に関連し、私が最近読んだ宮脇昭氏(故人)著の「鎮守の森」に中村先生が解説を書かれていますが、「人間が生きものであることを忘れず、自然への畏敬•謙譲の心を持つことが不可欠」との言葉、本当にその通りだと思います。また同時に68年のバックミンスター・フラーの「宇宙船地球号」にも触れられていますが、実はこの「宇宙船地球号」の発想は、私が傾倒する生物社会学者の今西錦司氏(「鎮守の森」でも同氏の生態学が触れられていますが)が1940年に出征覚悟で遺書のつもりで纏めた「生物の世界」で論じており、フラーやボールディングより遥か以前に日本人が提唱していた事は殆ど知られておりません。環境問題に興味のおありの方には是非読んで頂きたい論文です(かなり長い論文ですが〔笑〕)

2024.11.05

1. 中村桂子(名誉館長)

てるおさま
 いつもお読み下さってありがとうございます。また、今回はご意見をお寄せいただきお礼を申し上げます。
 おっしゃる通り、今西先生の「生物の世界」の冒頭に、地球を船に例えたお話がありますね。とても分かりやすく地球という船の乗員として生きることの大切さを書いていらして素晴らしい文です。内容としては、まさに「宇宙船地球号」を示していますので、この考え方の先取りです。ただ、言葉としてはフラーのものですね。
 実は、京都哲学撰書第19巻「今西錦司 行為的直観の生態学」の解説を書くように言われ(宮脇先生と同じく大事なお仕事をなさった方の解説を書くのも後輩の大事な仕事と思って)書いたのですが、そこで強調したのが「生物の世界」の魅力でした。研究者の卵になったばかりで、戦争に駆り出されることになった若者が、思いの丈を吐き出した見事な文です。今西先生のものを一つと言われたら、これをあげます。てるお様のおっしゃるように、皆様に読んでいただきたいものです。ご指摘ありがとうございました。
                  中村桂子

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