生命誌について
2023.12.22
しぜんの色 にほんの色
こう
空・海・大地や緑・・・
四季の移り変わりや朝夕の光の中に、自然は多彩な色の世界を
繰り広げますが、万葉集には自然や植物を読んだうたが多数
あるように、にほん人は穏やかで豊かな自然を愛で・描き・
活かしてきました。
後藤様は今 伝統色を勉強のご様子ですが
少し違う視点でいくつかお話しします。
①にほんの色の原点は移り変わるしぜんの色。
なかでも、にほん人は植物の葉や花に惹かれました。
例えば、秋の紅葉は“槭”が代表的ですが
家にある“秋山紅”は、春・淡い茶色で萌芽し後に若緑
夏・緑色 秋・紅から黄色に紅葉。
しぜんの色は、何かを定点観察する習慣が有効です。
②江戸時代の流れを継ぐ古典花卉の花々。
椿・日本桜草・花菖蒲・朝顔・・・
作出家が長年打ち込んで作り上げた花たち。当時世界一の
透明感ある色には、つい見入ってしまいます。
③有史以前、布が織られ始めた頃は、黄土や泥で糸を染めて
いましたが、しだいに植物で染めるようになりました。
木の皮・草の根・その葉や実からの“草木染”です。
茜草の根から染めた赤・紫草の根から染めた紫・・・
その後、染材料の名が色名となった~梔子・刈安色
花の名が色名となった~紅梅・桜・桃・紫苑色
等々、多数作られました。
お近くの図書館で、色帛を貼付した草木染の本があれば
柔らかい光の窓辺でご覧になって下さい。
仕事では、DICなどの色見本帳をお使いでしょう。
・1000数百年で作られて来た色が一束になっていますが
其々の色が出来上がった時代と事情は異なります。
例えば、江戸時代は“侘・寂”がヒットしました。
・しぜんの色は、天気や時間で変わってゆきます。
着想の原点はしぜんの色とし、既成・伝統色は企画で検討。
“新鮮な作品”をめざされてはどうでしょう。
2023.12.27
1. 後藤聡(表現を通して生きものを考えるセクター)
ご返信いただきありがとうございます。
当時の文化と併せて語られる日本の伝統色の持つ背景の魅力を教えていただき、とても参考になりました。
まだまだ勉強中の身ですが、地道な観察から身の回りのしぜんの色を上手く参考にできたらなと思います。