表現スタッフ日記
2023.12.15
日本の伝統色に学ぶ
年の瀬ですね。JT生命誌研究館創立30周年記念催しも無事終了いたしました。それらの記事まとめた季刊「生命誌」115号は、みなさんご覧になりましたでしょうか。開催当時の空気を、文章や写真、動画から感じていただけたら幸いです。→WEB季刊誌115号
私は陰ながら生命誌かるたの制作をしております。描き進めながら、かるたらしさとは、かるたらしく見える要素とは、なんだろなとぼんやり考えております。制作にあたり、日本の伝統色に触れる機会が多くなってきたのですが、今まで自分が扱ったことのない配色に振り回されております。例えば下の色のどちらかは「若竹色」なのですが、どちらだと思いますか。
正解は左が若竹色で、右が萌黄色(もえぎいろ)です。 若竹色の名前の由来は、青竹に比べてより若い竹のように黄みの薄い爽やかな緑色のことだそうです。萌黄色の名前の由来は春に萌え出る草の芽の色だそうです。これら日本の伝統色は平安時代からあったそうなのですが、色の名前を付ける行為の自然物から得る名前のセンスが素敵だなと思いました。それを名付けた人の言葉選びと拾う要素に、自分では絶対に思い付かないのだろうと嫉妬すら覚えます。私が平安時代にいて、同じ若い竹を見ても気にも留めない気がするのです。
ただ、これは科学的に説明がつきそうで、ヒトの脳では言葉に付随したイメージに基づく長期記憶の記憶色は、彩度と明度が実際よりも強調されて記憶される傾向があるようです。短期記憶から長期記憶に情報が送られる際に、その物の特徴となる色のイメージがより強まったり、好ましいと思う方向に変化して記憶されるらしいのです。
そのようなイメージに囚われすぎずまだまだ彩度の低いトーンで、伝統的な雰囲気を出しつつ、画面をシュッとまとめるのが難しいと紆余曲折しつつ、上手く日本の伝統色を自分の絵にチューニングしていきたいなという気持ちがあります。固有色から解放されようと願いつつ、しかし共通認識してもらうためには固有色に頼る双方のバランスに悩みつつあります。いい塩梅の中庸に落とし込めたらと思いつつ。
きょうびJT生命誌研究館に来るまで、自分のモチーフの興味の方向は西洋に向いているものでしたが、ここ半年くらいは興味関心の幅を広げようとお昼休みに高槻市にある上宮天満宮に行って知らない人の絵馬を見たり、美術館で見た日本画やお寺の装飾を思い返しその時代その文化や規律での、限られた色域での表現は美しいなと少しばかり和の心を能動的に動かそうと試みております。かるたという媒体に苦しみながら上手く絵に昇華できるよう頑張ります。
私は陰ながら生命誌かるたの制作をしております。描き進めながら、かるたらしさとは、かるたらしく見える要素とは、なんだろなとぼんやり考えております。制作にあたり、日本の伝統色に触れる機会が多くなってきたのですが、今まで自分が扱ったことのない配色に振り回されております。例えば下の色のどちらかは「若竹色」なのですが、どちらだと思いますか。
正解は左が若竹色で、右が萌黄色(もえぎいろ)です。 若竹色の名前の由来は、青竹に比べてより若い竹のように黄みの薄い爽やかな緑色のことだそうです。萌黄色の名前の由来は春に萌え出る草の芽の色だそうです。これら日本の伝統色は平安時代からあったそうなのですが、色の名前を付ける行為の自然物から得る名前のセンスが素敵だなと思いました。それを名付けた人の言葉選びと拾う要素に、自分では絶対に思い付かないのだろうと嫉妬すら覚えます。私が平安時代にいて、同じ若い竹を見ても気にも留めない気がするのです。
ただ、これは科学的に説明がつきそうで、ヒトの脳では言葉に付随したイメージに基づく長期記憶の記憶色は、彩度と明度が実際よりも強調されて記憶される傾向があるようです。短期記憶から長期記憶に情報が送られる際に、その物の特徴となる色のイメージがより強まったり、好ましいと思う方向に変化して記憶されるらしいのです。
そのようなイメージに囚われすぎずまだまだ彩度の低いトーンで、伝統的な雰囲気を出しつつ、画面をシュッとまとめるのが難しいと紆余曲折しつつ、上手く日本の伝統色を自分の絵にチューニングしていきたいなという気持ちがあります。固有色から解放されようと願いつつ、しかし共通認識してもらうためには固有色に頼る双方のバランスに悩みつつあります。いい塩梅の中庸に落とし込めたらと思いつつ。
きょうびJT生命誌研究館に来るまで、自分のモチーフの興味の方向は西洋に向いているものでしたが、ここ半年くらいは興味関心の幅を広げようとお昼休みに高槻市にある上宮天満宮に行って知らない人の絵馬を見たり、美術館で見た日本画やお寺の装飾を思い返しその時代その文化や規律での、限られた色域での表現は美しいなと少しばかり和の心を能動的に動かそうと試みております。かるたという媒体に苦しみながら上手く絵に昇華できるよう頑張ります。
後藤 聡 (研究員)
表現を通して生きものを考えるセクター