研究
2023.05.30
知らせ?
いとけん
橋本様
ご無沙汰しております。長らくご連絡ができず申し訳ございません。
今朝、橋本ラボの様子が夢に出てきて目が覚めたため、思い立って久しぶりにBRHのホームページにアクセスしたところ、最新論文の記事を見つけました。
研究の世界を離れて9年程になりますが、原腸形成三部作の完結編を拝見しながら、昔の研究室での日々の記憶が蘇ってきました。
僅かながらこの原腸形成モデルの研究に関われたことを大変嬉しく思います。
このシンプルで分かりやすい実験結果から導かれるモデルが、広く一般に受け入れられる日が来ることを陰ながらお祈りしております。
2023.06.01
1. 橋本主税(形態形成研究室)
いとけんさま
メッセージをありがとうございます。
私がやってきた研究の全ては私一人ではやってこられなかったものです。たとえば、神経堤の研究はナガトモという学生と一緒にやりましたが、これが違う学生と一緒にやっていたら、たとえデータは同じであったとしても、まったく違う内容の論文になったと思っています。原腸形成の論文も、発端はまだ京大にいた時にコイデという優秀な学生のアイデアに端を発しておりますし、そこから三部作の完成に至る過程にはイトケンさんも含めて多くの学生さんの知恵やひらめきが至るところに見受けられます。
様々な角度からの実験データも、我々が提唱しているモデルが現時点では最も正しいモデルであると示しておりますが、これが広く一般に受け入れられるかについては別の議論になります。前世紀の初頭から世界中で(なぜだか)信じられ続けてきた非常に根源的なことを覆す内容なので、変わるにしても時間を要するのではないかと思っています。口の悪い人に言わせれば、「現在のボス連中がリタイアした後でなければ無理だろうな」ということです。まだ数十年かかりそうですね。私が生きている間には無理かもしれませんが、イトケンさんが代わって見届けてください。まあ「マジョリティシフトは一気に起こるよ」とも言われますので、意外とあっという間に教科書が書き変わっている可能性もあるのかもしれませんが。
「布教活動」ではありませんが、国内でもカタツムリか歩くよりも遅いペースで方々に講演に行っております。最初の論文から20年を超えるというのに、いまだに心の底から驚かれます。来週末にも東京の「たばこと塩の博物館」にいって一般のお客様にレクチャーをする機会をいただきました。残された時間はわずかですが少しずつやれることをやっていくしかないと思っています。
11月には最後の研究員レクチャーをすることになりそうです。そこでは、研究生活を振り返ってお話しさせていただこうかなとも考えております。どんな人に出会って、どんな影響を受け、どんな論文を書いてきたかについてお話しできたら嬉しいと思っています。