生命誌について
2022.03.03
北緯38度線に想うこと
やっちゃん
いつも新たな気付きを与えていただいています。今回は「北緯38度線」周辺のお話でした。アリも鳥も自由に超えてゆくのに、人だけが(北と南に住む人だけ)自由に移動できない「境界線」。そこが人の居ない場所となり、自然のルールの下で絶滅危惧種も生息する場所になっていると。もはや人間の都合で自然を破壊するのはやめなさい、という警告とわたしは受け止めました。自然の中に人も加えられているのだから、自然を破壊するのではなく維持してゆくことに力を用いなければならない。戦争なんてもってのほかです。ましてや「核兵器の使用」を脅しに使うことは、断じて容認できませんね。命の向かうところは、つないで手渡してゆく過程そのものです。命を破壊することも、修復不可能にしてしまうことも、誰にも許されない行為です。これから10年が「気候変動」を抑える瀬戸際だと報道されています。「戦争」なんて時代遅れのことで環境破壊をせずに、毎日の生活の中でCO2削減に取り組んで、環境修復を図りたいものです。
2022.03.03
1. 中村桂子(名誉館長)
やっちゃん様
おっしゃる通りですね。人間の歴史は戦争の歴史だったと言えます。だから、戦争は避けられないもの、平和という言葉は言っても仕方のないものと考えている人が多すぎます。生きものというところにもどり、いのちを続けていくことを大事にする生き方をすれば、覇権争いのための戦争はない社会になれるはずというのが、生命誌が教えてくれることです。小さな争いや小競り合いは避けられないでしょうけれど。
生命科学の役割は、このような生きものの姿を事実として示すことであり、今こそそのような科学が必要です。そのような意識で研究をする人が出て来ることを願っています。そこから生まれる科学技術は暮らしやすい社会に繋がるはずです。35年前に生命誌を考えた時、何それと言われたことを思い出して、また何それと言われながらも、生命誌を戦争のない社会へ向けての知に組み立てていきたいと思っています。簡単ではありませんけれど。
学問と同時に日常も大事と思い、「老いを愛づる―生命誌からのメッセージ」(中公ラクレ)を書きました。お見かけになりましたらパラパラとご覧いただけると嬉しいです。
中村桂子
2022.03.04
2. やっちゃん
生きることは日常の積み重ねですね。生命のあるべき方向へ歩みを止めないで行くことだと実感しています。今ある命を大切に使ってゆく。多数の支え合いを心にとめておく。日々学ぶことが多いです。若い頃、年を取ったらのーんびり暮らしてゆこうと考えていましたが、とんでもない!発見や気付きに触発されてワクワク・ドキドキの毎日です。
『老いを愛でる 生命誌からのメッセージ』読ませていただきます。