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2022.02.25

「今、あなたに考えてほしいこと」への児童の感想

参照記事「研究館より」

竹ちゃん

今回、やっと「今、あなたに考えてほしいこと」の授業をすることできました。

授業ができる機会を作ろうとしたところでコロナパンデミックで先の見通しが立たなくなりましたが、昨秋、コロナ状況が落ち着いたときに退職時に勤めていた学校で中村名誉館長さんの新しい教材で授業が計画されました。年が改まると、オミクロン株の蔓延で学校側の対応が進んでいるリモートで授業することになりました。2学級が4教室に分かれてWi-Fiでつながっていてました。私は特別教室から担任のコントロールするパソコンで授業することになりました。技術を活用することで不可能なことが可能になることを実感しました。ところが、対面での授業との違いで戸惑うこともあり、何か物足りなさを感じました。

3時間の読み取りの後、4時間目に学習のまとめと「今、あなたに」ついて考えてもらってから自分の一番心に残ったことを一つ選んで書いてくださいと指示し、15分程度で書いてもらいました。子どもたちの反応は、チャットや挙手マークで受け取りましたが、タイムラグが生じたり、子どもたちの発する雰囲気は受け取ることができませんでした。リモートへの慣れもあるでしょうが、心を考える授業では課題もあるように感じました。

子どもたちの感想を読むと多くの子が「楽しい未来のために技術をどのように使うかが大事なこと」「想像力の元に人の思いやりがあったこと」を心に残してくれたようです。

今回の授業で得た課題を解決する授業を試みたいと思っています。喜寿を過ぎた私でも、今の子どもたちと心の交流ができることは楽しいことです。中村名誉館長さんのお元気な姿が励みになっています。次回の報告ができること願っています。

2022.02.25

1. 中村桂子(名誉館長)

竹ちゃん様

新しい教材で授業を行ってくださったとのこと、ありがとうございます。異常気象や新型コロナウイルスのパンデミックなど、子どもたちに渡していく社会について考え込むことの多いこの頃ですね。こんな時は、一緒に考えるしかないと思うのです。子どもの方が本物の考え方をするのではないかとさえ思いながら。コロナはまだ現実ではありませんでしたが、なんとなくこんなこともありそうな気がしながら書いたことを思い出します。

対面でない授業のもどかしさはよくわかります。でも、この体験が、人間にとって本当に大事なことを教えてくれると前向きに考えていきたいと思っています。お元気で、子どもたちとの時間をたくさん作ってください。またのお便りを楽しみにしております。

                    中村桂子

2022.03.01

2. 竹ちゃん

ありがとうございます。
別の学校で3月1.2日に谷川俊太郎さんの詩「生きる」を授業する予定です。「今、あなたに考えてほしいこと」と重ねて考えてもらおうと、特に、詩の2連目と絡めて案を練っています。授業後に、報告させていただきます。

2022.03.09

3. 竹ちゃん

詩「生きる」の授業が終わりました。

2連目

すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

について次のような問答をしました。

・ 「かくされた悪」はどこに隠れているのかな。
◎ 心の中です。
・ いいね。自分の心の中にあるって気づいたのね。
  でも、他のことを考えると、この詩がもっと面白くなるのですがね。
◎ 美しいものの中です。
・ そうですね。具体的に考えましょうか。
プラネタリウムはどの教科と関連があるの。
◎ 理科です。
・ 理科です。広げて考えるとどんな言葉が出てくる。
◎ 科学です。
・ そう、科学と考えてみましょう。
そこで、プラネタリウムを見たことあるでしょう。
◎ はい。
・ ドームで天井を見ていると、だんだん暗くなってきます。
すると、何が見えてきますか。
◎ 星です。
・ 星ですね。
ところで、太陽が出ているときに、空に星はあるのでしょうか。
◎ ない。ある。(両方の呟きが聞こえる)
・ 見えない。でも、あるの、ないの。
◎ ある、ある。
・ あるのにどうして見えないの。
◎ 太陽が明るすぎて星の光が見えないんです。
・ 科学にかくされた悪って、どんなことが思い浮かぶかな。
◎ 公害。自然破壊。薬害。温暖化。
・ そうですね。
  でも、日本の小学校の6年生なら……。
  科学に潜む悪といったらピーンとこないと……。
  担任も校長先生も泣いちゃうよ。
◎ 原爆です。
・ そうでしょう。原子爆弾が落とされたのはどこですか。
◎ 広島と長崎です。
・ 昨日、この2連と「今、あなたに考えてほしいこと」の中の「技術」と「便利」を読んで関連を考えみて、と伝えましたが、残り時間の少ないので話が聞けません。申し訳ありません。後で担任と授業するときに話し合ってください。

「技術」と「便利」という言葉との連想を子どもたちに聞くことができませんでしたが、環境破壊とか温暖化については関心があるのか、すぐに反応していました。
 「生きる」と「生きている」の違いから「生きる」はこれから先「どう生きたらよいのかに気づいた詩だ」と押さえてから中身の学習に入りました。「今、あなたに考えてほしいこと」の授業では、「生きる」の授業と関連付けて想像力を働かせてくれるものと期待しています。
 来年度は、両方の教材を同じ学級でできたら面白いなと、夢をふくらませています。

2022.03.09

4. 中村桂子(名誉館長)

竹ちゃん様

谷川さんの「生きる」の授業、子どもたちの反応がよいですね。詩がよいから。

「今、きみたちに考えてほしいこと」と重ねての授業をして下さったら本当に嬉しいです。戦争のことは、真剣に考えなければいけません。残念なことに、最近の政治の動きで、教育からそこがはずされています。生きることを考える基本ですのに。イデオロギーは関係ありません。「考えてほしいこと」で一番伝えたかったのは、戦争なんてばかばかしいという気持ちになることです。大きな声でなく、生きることを大切にしようねと言い合う気持ちです。

先生の授業に期待しています。
                    中村桂子

2022.03.09

5. 竹ちゃん

勇気がわいてきます。


ありがとうございます。
80歳まで出前授業を続ける勇気がわいてきます。

コロナパンデミックで詩「生きる」を考え直すようになりました。。
「あなたと手をつなぐこと/あなたの手のぬくみ」
「自由」
「いまが過ぎてゆくこと」
の意味が感情と結びついてきました。
また、2連の「アルプス」って、自然は征服の対象と考える西洋文明を象徴だったのかと……。
これに気づくのは、小学生には無理でしょうが、中高生になればできるでしょう。
私は、77歳になった今、気づいてのですからお笑いものですが……。

生命誌の研究から見えてきたことを多くの方に知っていただけるとよいと思っています。
その一つは、生き物の世界は分からないことが多いので慎重な対応が必要だということです。
もう一つは、生き物はつながりの中にあり、人もそのつながりの中にいる事実を知ることです。
そして、「技術」と「便利」という言葉の中に潜む「自己中」に思いをめぐらす授業ができたらと思っています。


中村名誉館長さんのご活躍をお祈りいたしております。

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