研究
2020.08.11
SARC-CoV-2はインターフェロンを抑え込むメカニズムをもっていますよ。
S.S.
平川さま
「コウモリとインターフェロン」の記事を楽しく読みました。
懐かしいですが、平川さんは今はここにいるのですね。
ところで、確か、SARS-CoV-2は、コウモリコロナウイルスのRaTG13株と96%のホモロジーがありますが、この株、中国雲南省普洱市の男性の便から2013年7月24日分離されたウイルスです。ACE2は小腸に多いからでしょうけれどヒトからの分離株です。SARS-CoV-2との違いは、S1とS2の開裂部位にfurin proteaseの認識配列があることでゴルジで開裂するようになったことで、reverse geneticsによって加えられた可能性が高いといわれています。それはさておいて、このウイルスに限りませんが、コロナウイルスはパパイン様プロテアーゼがTLR7、8に認識されユビキチン化の過程を分解することで自然免疫を妨害し、インターフェロンの分泌を抑えるほか、nsp15はUを切断するRNaseで、TLR3、7、8の認識を抑えて自然免疫を妨害します。更に、ORF6、8(6の方が強い)もインターフェロンおよび自然免疫を抑えます。つまり、症状がないのに感染しているがそのうちに味覚・臭覚異常が起こるのはこのためなのでしょうね。
コウモリとウイルスに関する文献とかあれば読みたいです。
確か、horseshoe batで口が蹄鉄型のウイルスがSARSもSARS-CoV-2も元々の宿主でしたね。
2020.08.11
1. 表現セクター 平川美夏
お久しぶりです。懐かしいお名前を拝見して嬉しいです。
ウイルスの専門家は、獣医系の方が多いのは、宿主としての生きものとの関わりを人間、動物を超えてごらんになっているからでしょうか。自然免疫をすり抜け、ACE2を目指して体内に潜むSARC-CoV-2は手強いですね。人の移動が始まり、組み換えが起きて一層多様化するのではないかと気がかりです。
その一方で、人とウイルスの移動のデータがリアルタイムで可視化される状況に新たな科学の視点の可能性を感じています。