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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【「和」から「容」へ】

2018年3月1日

齊藤 わか

季刊「生命誌」の昨年の年間テーマは、「和−なごむ・やわらぐ・あえる・のどまる」でした。そして本日公開された生命誌96号から始まる2018年の年間テーマは、「容−いれる・ゆるす」です。昨年と今年の年間テーマは、これまで通り「動詞で語る」という基本は継続しつつ、漢字一文字を中心に据え、それを訓読みした場合の複数の動詞で語るというかたちを試みています。漢字かな混じりという日本語の特徴を存分に活かした良案でしょう! としたり顏に言ってみますが、このかたちに落ち着くまでは、「『和』の次は一体どうしたら・・・?」という真っ白な状態でした。毎年のテーマ決めの会議ではスタッフが膝を付き合わせ、長時間頭をひねっても答えが出ないことはしょっちゅうです。今年のテーマ会議は、館長も加わってまず「寛容」について考える一年にしようということになり、それなら「寛」でいきましょうと一度はまとまりかけたのですが、話し合いを繰り返すうち、「カードの表紙に『寛』とあると、まるで『ひろし』さんからの手紙みたいに見えてしまわない?」「デザイン要素として見ると画数が多く、文字が角張りすぎていない?」など、さまざまな方向からの意見が飛び交い、最終的に「寛」ではなく「容」をテーマとすることで落ち着きました。「内容」、「容器」など熟語として使うことが多く、単独の字としての印象は薄い「容」ですが、だからこそさまざまな対象を「いれる・ゆるす」ことができる、まさに寛容な字なのです。さてどんな記事になったのか、本日公開の96号でお確かめください。少し言ってしまいますと、今号の最初の見どころはデザイナーの坂さん作の「容」のロゴです。目尻を下げてにっこり微笑んでいるように見えませんか? まさに何でもゆるしてくれるおじいちゃんのような。 私は言われるまでそう見えなかったのですが(笑)、当セクターのスタッフ5人中2人は、目にした瞬間そう見えたそうです。開けるたび、にっこりできるような記事を、一年間お届けできるよう頑張ります!

[ 齊藤 わか ]

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